診療放射線技師を目指す学生や若手技師に少し役立つ情報を提供します。
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尿の生成について

尿の生成について、ざっくりまとめてます。

参考にしてください。

参考図書 メディックメディア社、病気がみえる vol.8 腎・泌尿器

尿生成の概要

尿の生成は、腎小体(糸球体・ボウマン嚢)、尿細管からなるネフロンを基本単位として行われます。

  • ネフロン 腎蔵における尿生成の機能単位をいいます。

1つの腎蔵には約100万個のネフロンが含まれ、左右で約200万個のネフロンが存在します。皮質に存在する皮質ネフロン(80%)、髄質近くに存在する傍髄質ネフロン(20%)があります。

  • 腎小体  糸球体ボウマン嚢で構成され、原尿を生成します。
    血流 輸入細動脈 → 糸球体 → 輸出細動脈

 

  • 尿細管  原尿の成分を調節します。

腎血流の約20%は、糸球体で大まかに濾過され原尿となります。

原尿(1日180ℓ程度)は、ボウマン嚢から尿細管に入ります。

この尿細管で、各物質の再吸収や分泌を受けることで最終的な尿(1日1,4ℓ程度)へ変化していきます。

糸球体で行われる濾過は大まかなため、生体内の体液バランスを保つために、尿細管での再吸収・分泌が重要となります。

  • 糸球体で濾過されるもの 低分子物質・陽性荷電物質
    電解質、グルコース、アミノ酸、老廃物(尿素、尿酸など)、水、ビタミンなど

 

  • 糸球体で濾過されないもの 高分子物質・陰性荷電物質
    血球、多くの蛋白質、アルブミンなど

各物質は、尿細管で再吸収・分泌され最終的に排泄されます。各物質が排泄される量(濾過量に対して)は次のようになります。

  • Na+ 1%以下
  • Cl-  0,5~5%以下
  • K+  10~15%以下
  • Ca2+ 0,5~3%以下
  • Mg2+ 3~5%以下
  • グルコース 0,4%以下
  • 尿素 40%以下
  • 尿酸 10%以下

尿生成に関するホルモン

下に示すようなホルモンの作用により体内の水・ナトリウムバランスが保たれています。

  • バソプレシン
  • アンジオテンシンⅡ
  • アルドステロン
  • ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)

レニン

腎蔵の輸入細動脈に存在する傍糸球体細胞で合成・分泌されます。

レニン分泌の亢進は、輸入細動脈の灌流圧低下、遠位尿細管の尿流量減少、交感神経活性化の3つが因子となって起こるそうです。

国家試験で良く出題されている、診療放射線技師が最も関わるのは、

腎動脈狭窄などによる輸入細動脈の灌流圧低下です。

するとRA系、RAA系が亢進されます。

※お断り
レニンはホルモンではなく、蛋白質分解酵素かもしれません。
ただし国家試験では、レニンはホルモンとして扱われているので、ホルモンとします。

RA系、RAA系

血圧や循環血漿量の低下が起こると、腎臓はレニンを分泌して、アンジオテンシノゲン→アンジオテンシンⅠ→アンジオテンシンⅡと変換され、アルドステロンが分泌されます。

これにより血圧、循環血漿量が調節されます。

RA系
レニン分泌~アンジオテンシンⅡに変換される過程・作用を、レニン・アンジオテンシン(RA)系といいます。

RAA系
その後のアルドステロン分泌・作用をレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系といいます。

血圧上昇、循環血漿量増加がフィードバックされることで、レニンの分泌が抑制されます。