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参考

抗酸菌と結核について

臨床現場で、胸部レントゲンや胸部CTなどで、空洞形成を疑うもしくは認めることも多いです。

そうなった時にまず頭に思い浮かぶのが、結核です。

ここでは結核についての基礎的な情報を記載します。

抗酸菌

抗酸菌はマイコバクテリウム属の細菌で、細胞壁に脂質が多いという特徴があります。そのために以下のような染色の特徴があるそうです。

  • グラム染色は、染まりにくい。
  • 抗酸菌染色(チール・ネールゼン法、蛍光染色法など)では染まるものの、酸やアルコールで脱色されにくい。このことから抗酸菌と呼ばれているそうです。

抗酸菌は、主に3つに分類されます。

結核菌、らい菌、非結核性抗酸菌(結核菌とらい菌を除く抗酸菌)

らい菌は、ハンセン病の原因菌ですがここでは詳細を割愛します。

結核菌

肺内結核を中心に書きます。

結核は、結核菌の飛沫核を吸うことで経気道的に発症します(ヒトからヒトへ、空気感染)。

※経気道以外にも、血行性、リンパ行性に進展します。

発病

そして感染してからいつ発病するかで次のように分類されます。

  • 一次結核 初感染後、早期に発病する初感染結核症
  • 二次結核 初感染後、数年~数十年経ってから発病する既感染発病

日本では、ほとんどが二次結核での発症だそうです。高齢者になり、免疫機能が低下することが関係しています。

しかし結核菌に感染しても免疫機能の働きにより、大体90%の感染者は生涯を通じて発症しません。

  • 結核 感染≠発病
  • 他の感染症 感染=発病

こんな統計を見ました。例えば100人が結核菌曝露された場合は次のようになるそうです。

  • 初感染 30人
  • 発病なし 27人
  • 一次結核 1.5人
  • 二次結核 1.5人

 

病態生理

結核菌が肺胞に到達すると、

  • マクロファージが結核菌を貪食します。
  • 結核菌は細胞内で増殖します。
  • 結核菌はマクロファージを突き破り、繁殖します。

この3つが拮抗します。

肺門リンパ節の病巣では、

  • T細胞に抗原を渡し、感作T細胞が産生されます。

 

そして肺胞と肺門リンパ節での作用が、

感作T細胞が分泌するサイトカインがマクロファージを活性化し、結核菌に対する殺菌能力を高めることになります。

 

マクロファージが類上皮細胞やラングハンス巨細胞に変化し、結核菌を乾酪性の肉芽腫の中に閉じ込めようとします。

閉じ込めることに成功すると、結核菌への酸素供給を絶ち、死滅させます。

しかし病巣が大きい場合などは、中心部の乾酪壊死物質が崩れて、気管支と交通する空洞を形成してしまうことがあります。

この空洞が結核菌を増殖させる場となってしまいます。そこから経気道的に進展すると、他人への感染源となってしまいます。

 

結核菌の同定

結核では、結核菌が喀痰に含まれていることが多いため、喀痰検査で診断されます。

抗酸菌を検出 結核菌 or NTMの可能性があります。

  • 塗抹 蛍光染色法やチール・ネールゼン法などで抗酸菌の有無を調べます。迅速で行うことができて、当日に結果が出ます。ただし菌数が少ないと陰性となってしまうこともあります。
  • 培養 結果が出るまで、2週間程度かかりますが精度が高いです。

※判定には、従来ガフキー号数が使用されていましたが最近では使用していないという記述を見かけることもあります。現場では良く耳にする言葉ですが。

結核菌を検出 結核菌の遺伝子や特徴を検出します。

  • 核酸増幅法(PCR法、MTD法など)
  • その他

次のような確定診断に至ります。

結核菌(+) 結核

結核菌(ー) NTM

 

感染予防

喀痰塗抹検査(+)で感染性の高いor疑いがある患者には、飛散防止目的でサージカルマスクの着用と陰圧個室で隔離するなどの対策を行います。

そして医療従事者は、感染予防目的でN95マスクを着用します。

 

二次結核の好発部位

  • 右S1、S2、左S1+2、左右S6

※イラストは作成しませんので、教科書等を片手に参照ください。

  • この部位は、酸素分圧が高く、リンパの流れが良くないということで、結核菌が潜伏し増殖すると考えられています。

 

非結核性抗酸菌症(NTM:nontuberculous mycobacteria)

非結核性抗酸菌は、結核菌とらい菌を除く抗酸菌の総称です。

NTMは水や土壌などの環境でも見られる菌で、健常人からも検出されることがあるそうです。

ですから免疫力が低下した際に感染してしまう日和見感染の原因菌となることが多いそうです。

ただし結核菌と異なり、ヒトからヒトへの感染はなく、外来での治療も可能だそうです。

国内でNTMが関連する疾患は、以下の通りです。

  • 約8割りがMAC(Mycobacterium avium-intracellulare )症
  • 約2割がカンサシイ(M.kansaii)症
  • その他は割愛

 

このNTMの中で、MAC症の中の中葉・舌区型、空洞形成型の特徴をピックアップしてみます。

MAC症 中葉・舌区型 空洞形成型
好発 中高年女性 男性
基礎疾患 とくになし 陳旧性結核
COPDなどの肺疾患
画像所見 中葉(右S4、S5)や舌区(左S4、S5)の胸膜側に好発。気管支拡張を伴う多発小結節 上葉に好発する空洞病変