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MRI SNRについて

MRIのS/Nについてまとめましたので、参考にして下さい。 以前は「MRの公式とか計算式とか」に記載しておりましたが、このページに集中して書きます。

参考図書

Contents

概要

SN比とは信号雑音比のことで、SNR(signal to noise ratio) = signal / noise で表されます。信号値は測定する領域の信号平均値で、雑音値は標準偏差のことです。(雑音の評価には定義がいくつかあるそうです。)

SNRは画像の雑音特性を表す値であり、装置が正常に動作しているかを確認するシステムチェックや撮像パラメータの評価、臨床画像の評価など、頻繁に行われる評価項目です。

MRI画像の信号強度は相対値であるため、信号値や雑音値を単独で評価することが出来ません。しかし信号値と雑音値の比率は保たれるため、SNRによって雑音の程度を評価しています。

信号値と雑音値を単独で評価出来ないということですが、SNRを向上させるために次のようなイメージを持つと考えやすいと思います。

  1. 信号を増やそうとします。
  2. 雑音(ノイズ)を減らそうとします。

信号を増やします。

信号を増やすためには、次のようなパラメータが関連しています。

  • 静磁場強度が高い装置を選択します。
  • voxel volumeを大きくします。(FOVを大、matrix数を減、スライス厚を大にします。)
  • 位相エンコード数を増やします。
  • 加算回数を増やします。
  • TRを長くします。(信号回復が多いイメージです。)
  • TEを短くします。(位相分散を少なくするイメージです。)

ではこれらのパラメータがどのくらい寄与するかを考えるのに役立つのが、次の公式です。   この公式は、次の点に注意してください。

  • 位相エンコード数について

位相エンコード数を増やすと、データ収集量が増えてSNRが上がりそうな気がします。しかし実際にはSNRは低下します。それはvoxel volumeにも位相エンコード数が関与しているからです。

  • TR、TEについて

TR、TEも実際には関与しますが、煩雑になるために公式から省略しています。 

雑音(ノイズ)を減らす

雑音には様々な定義があるみたいですが、ここでは多くの書籍で紹介されているBW(バンド幅)のみ紹介します。そしてBWは多くのパラメータと関連しているため、詳細は参考図書で勉強するのが良いと思います。

  • BWを小さくします。(受信帯域幅が減り、雑音が減ります。)

雑音評価の基本は、受信したMR信号に含まれる雑音のために、フーリエ変換された画像中の信号値が正規分布を示すということであり、複数ボクセルの信号を取得してその正規分布の標準偏差を雑音と定義しています。

少し難しいですが、下の図のようなイメージで良いと思います。

MRIの信号とノイズの関係のイメージ図

BWを2倍にすると信号値は幅が2倍で高さが1/2となり、信号値の総和は変わりません。一方ノイズは2倍となるためSNRは1/√2となります。

バンド幅が関連するパラメータ

バンド幅は、SNR、TE、アーチファクト関連(モーション、フロー、磁化率、ケミカルシフト)などと関連しています。このように多くのパラメータと関連しているため、画質にも影響します。