MRIのSARについて記載します。
以前はMRIの公式とか計算式とかに記載しておりましたが、こちらで新規ページとして作成してます。
参考図書
- 秀潤社,決定版 MRI 完全解説 第2版
- 金原出版株式会社,MR・超音波・眼底 基礎知識図解ノート ※私が所有しているのは第1版ですが、最新は第2版です。
Contents
SAR
SARは、specific absorption rateの略で、比吸収率と呼ばれます。被写体が単位質量あたり、単位時間に吸収する電磁波のエネルギー(熱量)のことです。
MRIのRF照射によって体内に蓄積される熱量の指標として使われ、単位は[(J/s)/kg = W/kg]が用いられます。
SARの特徴
- SARは被写体表面近くで高くなるという特徴があります。
- 被写体表面近くで電気伝導度が不均一な部位にhot spotと呼ばれる部位が発生する恐れがあります。なりやすい場所として次の様な例が挙げられます。
- 渦電流が発生しやすい部位(筋肉、皮膚)の近くにある電気抵抗が高い部位(脂肪)
- 体表が近接している部位(両大腿、両膝、肘など)
- 3T以上の高磁場 RF分布が不均一になりやすいため
平均SAR
人体は構造や組成が複雑であるため、SARを正確に求めることは困難だそうです。よって内部が均一な球体で単純化して考えるのが一般的みたいです。
そこで求められるSARが平均SAR(以降SARav)であり、体温上昇の指標となります。
SARav ∝ σD(B0θR)^2 / ρ ※^2は、2乗です。
- あまり影響がないと思われます。 → σ:球体の電気伝導度、ρ:球体密度
- めちゃ影響ありと思います。 → R:半径、B0 :静磁場強度、θ:フリップ角
- まあ影響ありと思います。 → D:duty cycle 単位時間当たりの出力時間の割合です。MRIだとTRに対するRF照射時間の割合や、TRに対する傾斜磁場強度印加時間の割合を示します。スライス数、RFパルス時間に比例し、繰り返し時間に反比例します。