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NEW MRI アーチファクトのまとめ

MRIのアーチファクト関連について、情報を更新しました。

以前書いた「MRIのアーチファクトについて」という記事があります。そちらは私の勉強不足もあり、現在(2022年3月)では少し違うかなという印象を持っています。申し訳ありません。特にトランケーションアーチファクト。

なおアーチファクトをどのように分類するかは書籍で異なります。よって独断と偏見で、国試的・臨床的に大切そうなものをピックアップして記載します。

情報不足な箇所もあるかと思いますが、ご了承ください。

参考図書

折り返しアーチファクト(エリアシングアーチファクト)

概要

FOV外のものがFOV内に重なって表示されるアーチファクトです。位相エンコード方向に発生すると考えれば良いです。

※周波数方向のエリアシングは、ローパスフィルターで回避できるようです。

FOVの位相方向(y方向)について考えます。FOVの端から端までを、傾斜磁場により0〜360°(0〜2π)に割り当てます。しかし傾斜磁場は下の図のようにFOV外にもかかります。このようにFOV外のものが、FOV内に重なって表示されることで発生します。

折り返しアーチファクトのイメージ図 ※デジタルイラストデビュー作品です。

対策

主な対策は次の通りです。

  • 過剰サンプリングを行います。折り返っても画像に影響がないイメージで、現場ではほとんどこちらを使用していると思います。メーカーによって、「no phase wrap」「over sampling」「fold over suppression」などと呼ばれます。
  • FOVを大きくします。
  • 表面コイルを使用します。感度領域が狭いため、FOV外の信号を取得しません。
  • FOV外にsaturation pulseを印加します。FOV外で折り返りそうな信号を消すイメージで良いと思います。

ケミカルシフトアーチファクト

第2のケミカルシフトアーチファクト

ケミカルシフト、第2のケミカルシフトについては、別ページにまとめますので参考にしてください。

打ち切りアーチファクト

概要

トランケーションアーチファクト、ギブスアーチファクトとも呼ばれます。

他に代表的なのは頸椎のT2Wサジタルで脊髄内に線状の高信号が現れる事だと思います。下の図だとC5レベルの脊髄に見えるやつ高信号の線です。(エの矢印先端の右上)

MRI画像(2D)は、周波数エンコード×位相エンコードのマトリックス数分のデータを収集します。撮像時間の関係もあり、データを無限に収集することはできません。よってマトリックス数は、128や256等の有限の値が選択されます。このように有限の値でデータ収集を打ち切ると、急に信号強度が変化する境界から縞状のアーチファクトが生じることがあります。

対策

マトリックス数を増やします。(エンコード数を増やす、空間分解能を上げる等と同じ意味です。)以前の記事はここを難解にしてしまいました。申し訳ありません。

現場では、実際のアーチファクトと再撮するかを天秤にかけて判断すると思います。再撮影+マトリックス数を増やした分の延長時間がかかります。

磁化率アーチファクト

概要

物質の磁化率の差が原因で生じる現象で、画像の歪みや信号が消失します。磁化率差により不均一磁場ができるとプロトン原子核磁気モーメントの位相が分散して低信号になります。

磁性体の磁化率、静磁場強度、撮像パルスシーケンスなどが関連しています。

磁化率アーチファクトの影響の大きさは、パルスシーケンスによっても異なります。

影響大 EPI法>GRE法>SE法>高速SE法 影響小

エコープラナーイメージング法(EPI法と記載します)で最も顕著に出現します。

次に磁化率に敏感なグラディエントエコー法(GRE法と記載します)で出現しやすいです。GRE法は180°パルスを使用せずに、傾斜磁場の反転を用いることが関係しています。

スピンエコー法(SE法と記載します)は、再収束パルスを利用するため、GRE法に比べて出現しにくいです。

高速SE法では複数の180°パルスを使用するため、さらに出現しにくいです。

対策

  • 可能であれば異物を取り除きます。
  • 静磁場強度が低い装置を選択します。
  • 撮像パルスシーケンスを変更します。

臨床では脳血管内治療術後で頭蓋内ステントやコイル挿入後のMRAを検査する時があります。その時は、ultra short TEを用いたTOF-MRAを撮像することもあります。よってパルスシーケンスにもよりますが、TEを短くするという対策も有効かもしれません。

クロストーク

概要

RFパルスが完全な矩形波ではないために、隣接するスライス面の一部を励起することで生じます。

このクロストークが発生すると、SNRの低下やT1強調を強めることになります。また、撮像断面がクロスする部位では、無信号となります。

スライス感覚が狭い方がクロストークの影響が強くなることが分かると思います。

対策

  • スライス間隔を大きくします。
  • インターリーブ法を用います。
  • RFパルスを矩形波に近づけます。実際にどのような設定をすれば、こうなるかは理解できていません。

インターリーブ法

例えば6スライスの撮像を考えます。通常のシーケンスでは、スライス1~6を順番に励起します。この際、隣接するスライスにクロストークが発生します。そこでインターリーブ法を用います。

インターリーブ方では、次の2通りが考えられます。

  1. 同一のTRで励起する順番を変更します。1→3→5→2→4→6とすれば、クロストークの影響を小さくすることができます。ただし完全にクロストークの影響を排除することはできません。
  2. 異なるTRで励起します。1TR目に1→3→5と励起します。
    2TR目に2→4→6と励起します。
    こうすればクロストークの影響が100%除去されますが、撮像時間が2倍になります。

マジックアングルアーチファクト

腱や靭帯などの長軸方向が、静磁場方向と55°になると発生するアーチファクトです。腱や靭帯のT2値が延長し、TEの短いシーケンス(T1W、PDW)で高信号となります。

モーションアーチファクト(ゴーストアーチファクト)

概要

検査中の動きが原因で出現するアーチファクトです。動きには、次のようなものがあります。

  • 生理的な動き 周期的な動きで、呼吸による体動、腸間の蠕動、心臓の拍動、血液や脳脊髄液の流れなどがあります。
  • 動いてしまう場合 体の動き、嚥下運動、目の動きなどがあります。

動いた方向に出現するのではなく、位相エンコード方向の位置ズレとして出現します。これはデータ収集の時間に関係しています。周波数エンコード方向では[msec]に対して、位相エンコード方向では撮像時間[sec]~[min]となっているためです。

対策

生理的な動きに対しては、次のような対策が挙げられます。

  • 周波数と位相のエンコード方向を変えて(SWAPと言います)、アーチファクトの判断を行います。
  • 前飽和パルスを使います。あらかじめ動きが出そうな箇所に前飽和パルス(presaturation pulse)を利用することで、そこからの信号を抑制しアーチファクトを低減します。
  • gatingを利用します。呼吸や心臓の拍動などの周期的な動きに対しては、同期(gating)を利用することが有効です。

患者さんが動いてしまう場合は、次のような対策が考えられます。

  • 体動部位の固定を強化します。実際問題、動きを抑制するのは困難です。
  • 短時間で撮像します。頭部MRAを数min→数十secなどが挙げられます。
  • 体動補正シーケンスであるラディアルスキャンを使用します。メーカーによって「PROPELLAR」、「BLADE」、「Multi Vane」などと呼ばれています。

簡単に紹介

位相分散帯

ダークバンド、フラッシュバンド、バンディングアーチファクト等と言われます。GRE法のBalanced SSFPに関連するので、参考図書等で勉強することをオススメします。

N/2(エヌハーフ)アーチファクト

EPI(エコープラナーイメージング)で発生するアーチファクトです。
EPIは傾斜磁場を高速で反転させて撮像を行う手法です。傾斜磁場を高速反転してデータをk空間に充填しますが、その際に位相が微妙にずれるため生じます。位相ズレの原因は、渦電流や不完全な傾斜磁場が考えられます。

ジッパーアーチファクト

検索すると実際の画像が見れると思います。