感染症は、ご存知の通り高確率で出題されています。
感染とは病原体が、感染経路を経て、宿主に侵入・定着し増殖することを言います。
このとき病原体の感染力が、宿主の抵抗力を上回ったときに感染が成立します。
ただし感染しても、必ず症状が発症するわけではありません。
症状が出ない場合は、病原体を排出したor菌を保持するキャリアになっている可能性があります。
今回は感染経路について、まとめてみます。
いつもの通り更新する可能性大です。
外因性感染
外界からの病原体が原因の感染を外因性感染と言います。
外因性感染には、水平感染と垂直感染があります。
水平感染
感染源(感染者や汚染物)から、周囲に伝播する感染のことを言います。
経路 | 接触感染 | 飛沫感染 | 空気感染 | 媒介物感染 |
特徴 | 感染者に直接接触して感染する | 病原体を含む飛沫を吸って感染する | 空気中を漂う微細な粒子より感染する | 汚染物を介して感染する |
主な
疾患 |
伝染性皮膚疾患 性感染(淋病、梅毒など) 咬傷感染(狂犬病、破傷風など) |
インフルエンザ 風疹 流行性耳下腺炎 百日咳 細菌性肺炎 マイコプラズマ肺炎など |
結核 麻疹 水痘など |
食品媒介感染 (食中毒) 血液感染 (HBV、HCV、HIVなど) |
垂直感染
母体に感染している病原体が、妊娠・分娩・授乳を通して感染することを垂直感染または母子感染と言います。
経路 | 終胎盤感染 | 産道感染 | 母乳感染 |
特徴 | 胎盤を介して病原体が胎児血液に混入する | 産道や母体血中にいる病原体が分娩時に感染する | 母乳を介して病原体が感染する |
主な
疾患 |
トキソプラズマ HIV 梅毒トレポネーマ 単純ヘルペスウイルス 風疹ウイルス サイトメガロウイルスなど |
サイトメガロウイルス 単純ヘルペスウイルス HBV HCV HIV 淋菌 カンジダ クラミジアなど |
サイトメガロウイルス HIV 成人T細胞白血病ウイルス1型 |
TORCH症候群
終胎盤感染により、胎児に重症な症状を引き起こす感染症/病原体の総称をTORCH症候群と言うそうです。
- T:Toxoplasmosisトキソプラズマ症
- O:Other agents梅毒、水痘など
- R:Rubella風疹
- C:Cytomegalovirusサイトメガロウイルス
- H:Herpes simplex単純ヘルペス
内因性感染
通常は宿主に病原性を示さない菌(宿主に常在する)が原因で起こす感染を内因性感染と言います。
内因性感染には菌交代現象、異所性感染、日和見感染があります。
分類 | 菌交代現象 | 異所性感染 | 日和見感染 |
特徴 | 抗菌薬の投与やチューブ・ドレーンの留置などが原因となり、フローラが乱れる現象 | 常在微生物が本来いる場所から別の場所へ侵入する | 免疫能が低下した宿主に対して、常在微生物が病原性を発揮してしまう。 |
主な
疾患 |
偽膜性大腸炎 カンジダ腔炎 |
大腸菌による胆管炎など 肺血症(血中への侵入) |
日和見感染
感染力が弱い病原体(日和見病原体)が、感染に対して抵抗力が低下している人(易感染性宿主)に感染することを言います。
日和見病原体には、次のようなものが挙げられます。
細菌 | ウイルス | 真菌 | 原虫 |
表皮ブドウ球菌 腸球菌 緑膿菌 セラチア レジオネラ など |
サイトメガロウイル 単純ヘルペスウイル 水痘・帯状疱疹ウイルス |
カンジダ アスペルギル ニューモシスチス クリプトコックス |
トキソプラズマ |
※易感染性宿主となりうる代表的な疾患の抜粋 2020/10/06追記
- 免疫不全症 (原発性、後天性)免疫不全
- 悪性腫瘍 白血病、悪性リンパ腫、肺癌
- 血液疾患 再生不良性貧血、骨髄異形成症候群
- 膠原病 全身性エリテマトーデス
- 代謝機能不全 糖尿病、肝硬変、腎不全、ネフローゼ症候群