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CT

ヘリカルCTについて

学生の方を中心に情報を発信している、カワシマです。

私が技師になってから、ご縁がありまして、いくつかの施設でお手伝いさせて頂く機会があります。
各施設では、私の勤める病院とは異なるメーカー・スペックの装置を使用していることが多く、とても勉強になります。

ある施設では、シングルスライスの、第2世代だと思われる装置を使用していました。
そのときのことが印象深いのでご紹介したいと思います。

第1世代 Translate/Rotate・ペンシルビーム・検出器1個
第2世代 Translate/Rotate・ナロウファンビーム・検出器5~30個
第3世代 Rotate/Rotate・ファンビーム・検出器500~800個
第4世代 Stationary/Rotate・ファンビーム・検出器600~2400個

現在は、第3世代が多く採用されています。
第4世代は、検出器が円周上に多く配置されているためコスト面やコリメーションの影響で散乱線の影響が問題だそうです。

お手伝いさせて頂いた施設(長いので以降はA施設と呼びます)では、頭部撮影が9割以上です。
患者さんは、認知症や高齢者の方の検査がほとんどです。

装置が非常に古いため、撮影と画像再構成に時間がかかる装置でした。

トラックボールで使用したり、テーブルの四角いスイッチを押したりして操作します。マニュアルというか機器説明書を見ながら撮影しました。

A施設での経験を経たことで、当たり前と思っていたマルチスライスのヘリカルスキャンがすごい装置であることを実感しました。

ここではヘリカルスキャンについて考えてみたいと思います。

ヘリカルスキャンについて

ヘリカルスキャンは、データをらせん状に取得します。

ヘリカルスキャンの最大の特徴は、

広範囲を短時間で撮影することが可能である

ことです。

このヘリカルスキャンを可能にするには、以下の要素が大事になります。

  • X線管球が照射しながら、連続回転する
  • 寝台が連続移動する
  • 補間処理が可能である

X線管球が照射しながら、連続回転する

X線管球が連続回転するには、スリップリングが欠かせません。

スリップリングとは、X線を出力するために必要な高電圧発生装置に、電力を供給するものです。

以前は高電圧発生装置に電力を供給するために、ケーブルを使用していました。そのためガントリの回転には制限がありました。

しかし現在では、小型化されたスリップリングがガントリ内部に組み込まれているため、ヘリカルスキャンが可能になりました。

 

またX線管球には、冷却効率ができるだけ高いことも求められます。

自施設の64chのCTでも、管球が熱いと高管電流が出力できない時があります。
A施設の装置ですと胸部・腹部の撮影中、頭部の検査が連続した時にwait timeが頻繁に発生します。

逆にX線管球が冷めていても、高感電流は出力できません。
検査をしない時間が長い時は、管球のウォームアップを行います。ウォームアップすることで、管球の負荷を減らすことが大切です。

 

寝台の連続移動

2019/1/15 【追記】ヘリカルピッチを大きくすると

ヘリカルスキャンでは、撮影中は寝台が連続で動きます。

どれくらいの速さで動くのかを表すのが、ヘリカルピッチ(ディテクタピッチ)と呼ばれるものです。

シングルスライスの時は、ヘリカルピッチと呼ばれていました。
現在ではマルチスライスが主流であり、ビームピッチと呼ばれます。

ビームピッチ  = 1回転当たりの寝台移動距離 ÷ ビーム幅

= ヘリカルピッチ ÷ 検出器列数

ヘリカルピッチ = 1回転当たりの寝台移動距離 ÷ コリメーション幅

 

ビームピッチは、国家試験にも出題されています。

69回AM NO9
1回転0.5 秒の64 列のマルチスライスCT装置を用いてコリメーション幅0.625 mm、テーブル移動速度8cm/s で撮影したとき、ビームピッチとして正しいのはどれか。

テーブル移動速度8cm/sは1秒間当たりの寝台移動距離であるので、1回転当たりの移動距離に変換します。

1回転0.5 秒であるので、1秒間で2回転となります。よって1回転当たりの移動距離は4cmとなります。また単位を揃えるため40mmとして、これらを数式に代入します。

ビームピッチ = ヘリカルピッチ÷検出器列 = 40÷0.625÷64 = 1

 

ヘリカルピッチが大きい場合、次のような特徴があります。

  • 寝台移動速度は速くなり、
  • 撮影時間が短くなり、
  • 被ばく量は低下します。

反対にヘリカルピッチが小さい場合は、逆になります。寝台移動速度は遅くなり、撮影時間が長くなり、被ばく量が増加します。

ではヘリカルピッチは大きいほうが良いことになりますが、そう簡単な話しでもありません。

 

ヘリカルピッチを大きくすると、次の要素も関係します。

  • ヘリカルアーチファクト
  • 実行スライス厚
  • ノイズ

 

ヘリカルアーチファクト

ヘリカルスキャンのピッチファクタが大きい場合、高吸収の物質周囲に発生しやすいアーチファクトに次のものがあります。

  • ヘリカルアーチファクト
  • ウィンドミルアーチファクト(風車状、ウィンドミル)

 

実効スライス厚

SDCT(single-detector CT)

ヘリカルピッチが大きくなるとSSPzが体軸方向に広がり、実行スライス厚が大きくなります。

MDCT(multi-detector CT)

16列以上などのX線束のコーン角補正がされている場合は、実効スライス厚にほとんど変化がありません。

SSPz(slice sensitivty profile at Zaxis)

スライス感度プロファイルのことで、体軸方向の収集データの感度分布を表します。
体軸方向に広がるコーン角の影響もあり、X線束の中心と辺縁では感度分布が異なります。

一般的にノンヘリカルスキャン(コンベンショナルスキャン)はSSPzの半値幅をスライス厚と言います。

一方ヘリカルスキャンでは、ヘリカルピッチや補間処理などにより、SSPzが変化するため、SSPzの半値幅は実効スライス厚と呼ばれています。

 

ノイズ

ヘリカル補間処理などが原因となり、ノイズにも影響がでます。

  • SDCT(single-detector CT) ノイズは変化しない
  • MDCT(multi-detector CT) ノイズは増加します。

 

ヘリカル補間処理(2020/6/15 追記

ヘリカルスキャンでは、スキャン中にスライス位置が連続的に変化します。このまま再構成するとモーションアーチファクトとなりますので、ヘリカル補間処理を行います。

ヘリカル補間は目的のスライス位置の前後のデータから、画像を得ることです。

補間処理には360°補間と180°補間があります。

  • 360°補間

目的のスライス位置の前後2回転分のデータで補間する方法です。
画像再構成のスライス厚が厚くなってしまうというデメリットがあります。

  • 180°補間

目的のスライス位置の前後1回転+(2×ファンビーム角度)分のデータで補間する方法です。スキャンしたデータには180°反対方向から投影される対向データを利用します。

ノイズがやや増えるというデメリットがあります。

360°補間と180°補間では、体軸方向の特性が変わってきます。

それは、使用する投影データの範囲が違うからです。この利用範囲と補間係数の重み付け係数が関係して、SSPの形状が決定されます。

ヘリカルCTにおける問題点 (2019/2/3 追記)

オーバービーミング

体軸方向のX線の照射幅を調整する機構として、コリメーターがあります。

コリメーターは、検出器に照射されるX線強度にムラが出ないよう、実際に使用する検出器幅よりも少し広くなっています。

この使用する検出器以外に照射されることをオーバービーミングと言います。

ちなみにこのオーバービーミングの部分は、画像に関係のない被ばくになります。

 

オーバースキャニング

こちらも体軸方向の、スキャンの始点と終点で、画像に関係のない被ばくが発生してしまうことを言います。

オーバースキャニングの対策として、アクティブコリメータというものが開発されているそうです。

スキャン開始時と終了時にコリメータを非対称にすることで、オーバースキャニングを回避します。

 

まとめ

ヘリカルスキャンについて

ヘリカルスキャンの特徴は、広範囲を短時間で撮影できることです。

ヘリカルスキャンには次のような特徴がありました。

  • 管球の出力・熱容量が大きいこと、冷却効率が良いこと
  • スリップリングで電力を供給できるようになったこと
  • ヘリカルピッチ、ビームピッチ
  • ヘリカル補間処理