認知症について、まとめたページになります。
Contents
認知症の概要
認知症の定義
まず最初に認知症の定義です。次のように定義されています。
正常な脳の知的機能(認知機能)が、後天的な脳の器質障害によって、持続性に低下し、日常・社会生活に支障をきたす状態をいう。
認知症の原因
認知症となってしまう主な原因は、2つです。
- 変性性認知症(加齢による脳の病的な老化)
- Alzheimer型認知症、Lewy小体型認知症、前頭側頭型認知症
- 脳血管性認知症(脳血管障害)
- その他
- 外傷 慢性硬膜下血腫、頭部外傷後遺症
- 感染 クロイツフェルト・ヤコブ病、HIV脳症、神経梅毒、脳炎・髄膜炎
- 脳腫瘍
- その他 正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、ウェルニッケ脳症、アルコール脳症
そしてこの中で三大認知症と言われるものが、次の3つです。
- Alzheimer型認知症
- 脳血管性認知症
- Lewy小体型認知症
変性性認知症は一度変性してしまったら戻らない不可逆性に進行するため、治療が困難です。
しかし上に挙げた、その他の認知症の中には治療可能、治癒が見込める疾患があります。
治療可能、治癒が見込める認知症
慢性硬膜下血腫、HIV脳症、神経梅毒、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症
※慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症は、放射線科も良く関わる疾患なので太字にしてみました。
認知症の症状
認知症の症状は、中核症状とBPSDに分類されます。
- 中核症状 認知症患者に必ず見られる症状
- 記憶障害、見当識障害、失語、失行、失認、遂行機能障害
- BPSD(行動・心理症状) 中核症状に付随して起こる二次的な症状
- 不眠、徘徊、幻覚・妄想など
三大認知症
各認知症の概要をメモ程度に書きます。
Alzheimer型認知症
- 全認知症の約半数
- Alzheimer型認知症
- 65歳未満で発症 若年型、初老期発症型
- 65歳以上で発症 老年期発症型
- 特徴
- CTやMRIの画像診断では、側頭葉内側面(主に海馬)を中心とする大脳皮質の萎縮、脳溝や脳室の拡大
- SPECT、PETでは頭頂葉や側頭葉の血流低下
- 症状の進行を抑制する薬 塩酸ドネペジルが保険適応
Levy小体型認知症
- 全認知症の約2割程度
- 特徴
- 進行性の認知機能障害、繰り返す幻視、パーキンソニズム
- SPECT、PETで後頭葉の血流低下
- MIBG心筋シンチグラフィでMIBGの取り込み低下が見られる(補助診断)
Levy小体とは
神経細胞(ニューロン)内に出現する円形の細胞質封入体。
Levy小体型認知症では、大脳皮質など中枢神経系に広範に見られるそうです。
一方、パーキンソン病は脳幹に限局して、Levy小体が見られるようです。
脳血管性認知症
- 全認知症の約2~3割、脳血管障害によって発症します。
- 原因
- 多発梗塞型 大・中血管の閉塞による多発性梗塞
- 小血管病変型 広範な小血管病変による梗塞・循環不全
- 多発性ラクナ梗塞
- Binswanger病(進行性皮質下血管性脳症)
- 局在病変型 海馬など認知に関わる重要な部位の単発梗塞
- その他 低血圧や脳出血、クモ膜下出血
Binswanger病
臨床でも比較的多く目にする単語だと思います。放射線科医の読影レポートで良く目にしますので、参考までに。
高血圧や動脈硬化による大脳白質の慢性的な循環不全によって、大脳白質にびまん性で広範な脱髄を生じ、進行性で高度の認知症を呈する疾患