CTは、Computed tomographyの略で、コンピュータ断層装置のことです。
CT画像は、白黒グレーで見えます。今回は画像の見え方について、CT値とウィンドウ機能についてまとめてみます。

参考図書
- X線CT認定技師講習会テキスト
- オーム社、CT super basic
- MEDICAL VIEW社、若葉マークの画像解剖学
CT値について
CT値は、X線の透過のしにくさの指標である線減弱係数μに比例します。またμは、X線質に影響を受けます。
- 硬い線質(高エネルギー)時 μは小さい
- 軟らかい線質 μは大きい
CTでは通常120kVを使用しますが、装置間でX線質が等しいとは限りません。すると装置間でCT値が変わってしまうことになります。
そうならないよう水のCT値がゼロとなるように、次式が定めらました。

CT値の計算式
計算式の対象となるもののX線減弱係数がわかれば、CT値が分かることになります。
例えば、次のようです。
- 空気のX線減弱係数は0 → CT値は‐1000
- 水のX線減弱係数は0 → CT値は0
数式を見ると、対象となるもののX線減弱係数は0~無限となりますので、CT値は‐1000~無限の値をとることがわかります。
良く現場では、骨が大体1000で上限値として扱われます。
しかしCT値には、上限値があり、装置のbit数が関係します。
12bitでは‐1000~3084、13bitでは‐1000~7168になります。
現場では、上限値が1000ではないということを念頭にして、やはり骨が1000程度であると覚えていれば良いと思います。
このように骨だけでなく、大体の臓器もおおよそのCT値が決まっています。成分や組成などの影響で誤差が生じますので、おおよその目安としてください。
人体のCT値
- 肺:−900
- 脂肪:−100
- 水・脳脊髄液:0
- 脳:25~40
- 血液:30〜40
- 軟部組織 個人差が大きいので、目安程度に
- 腎臓:20~40
- 筋:35~50
- 脾臓:35~55
- 肝臓:45~75
- 甲状腺:60~100
- 骨:1000 としておきます
現場では、CT値を計測することが良くあります。
- 出血の鑑別
- 何か不明のものがあった際の目安
ウィンドウ機能
人間の臓器のCT値が、おおよそで決まっていることを紹介しました。
CTの画像を見るときは、白黒の濃淡で表示されます。この濃淡表示は、8bitの256階調で濃淡レベルが表示されます。
そして観察したい目的や部位により、画像の濃度を調整することができます。
そのためにウィンドウレベル(WL:Window level)、ウィンドウ幅(WW:Window width)というものがあります。
WL:ウィンドウレベル
観察したい部位の、中心となるCT値になります。
WW:ウィンドウ幅
観察したい部位の、CT値の下限値~上限値の幅になります。この下限値や上限値は、画像に表示されないというわけではありません。観察しやすいCTの値となります。
これらのWL、WWを用いることで、コントラストを変えて画像を観察することになります。
- 頭部:WW:100、WL:40
- 胸部:WW:1500、WL:-600
- 腹部:WW:350、WL:50
これらWL、WWは、ある程度の指標です。現場ではこのウィンドウ機能を利用し、観察したいものを見ることもあります。
例えば、
- 出血や血栓を確認したいとき、WWを小さくして出血を検索できるよう調整します
- 腹腔内遊離ガスを検出したいとき、WWを大きくして空気を見やすいように調整します
このようにCT画像を観察する時、CT値とウィンドウ機能は重要な情報になります。
CT値は物質固有のおおよその値が決まっていますが、ウィンドウ機能は、WL、WWをほぼ自由に決定することができます。
デフォルトのWL・WWでは、人間の目では区別しにくいコントラストも存在します。
ですからCT画像のウィンドウ機能を調整することは、現場で良くあります。
新卒技師の方などは、ウィンドウを調整するクセをつけろと言われるかもしれません。
ウィンドウ機能はそれくらい大切な情報になります。
現場でCT画像を参照して、これは何だろうと思った時に、
- ウィンドウ機能を調整すること
- CT値を計測し、予測すること
が重要となってきます。