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CT

CTのヨード造影剤について

ここではCTの造影検査で使用されるヨード造影剤について記載します。

随時更新していく予定です。参考にしてみて下さい。

ヨード造影剤の特徴

CTで使用する造影剤の特徴は、次の通りです。

  • 血管内に投与されるため、水に良く溶ける必要があります。→水溶性ヨード造影剤
  • 静脈内投与後、血漿内から速やかに血管外の細胞外液中に移行し、血管の内外で平衡状態に達します。
  • この間に腎臓から排泄され、投与から24時間後には90%以上が尿中に移行し、体外に排泄されます。
  • ベンゼン環を基本構造とするトリヨード化合物(六角形にヨードが3つのイメージ)です。
  • 現在の主流は、安全性と造影能の面から、非イオン性モノマー型です。

ヨード造影剤の構造とか

イオン性

イオン性の造影剤の特徴は、次の通りです。

  • ベンゼン環に、酸性のカルボキシル基(-COOH基)を持っています。
  • 水に溶けると、-COOHが-COO^-とH^+の2分子に分かれます。
  • 浸透圧は液中に含まれる分子数に比例するため、非イオン性の2倍となります。

非イオン性

非イオン性の造影剤の特徴は、次の通りです。

  • ベンゼン環に、水素基(-OH基)を多く含んだ側鎖(R)と水分子が水素結合しています。
  • イオンになることなく、水に溶けます。
  • 浸透圧は変化しません。同じヨード濃度の場合、非イオン性造影剤の浸透圧はイオン性造影剤と比較して約半分になります。
  • 副作用は、イオン性の造影剤と比較して少ないです。

モノマー型

2019年1月8日 青色マーカー部分、モノマーとダイマーを反対に書いていたので訂正しました。スミマセン。

ベンゼン環1つの構造であり、1分子当たり3個のヨードを有しています。

ダイマー型

モノマー型造影剤を2個連結しているため、1分子当たりのヨード数6個とモノマー型の2倍となります。
半分の分子数でモノマー型と同じヨード濃度が得られるため、浸透圧は半分になります。

禁忌や原則禁忌について

禁忌

  • ヨード又はヨード造影剤に過敏症の既往歴のある被験者
  • 重篤な甲状腺疾患のある被験者

原則禁忌

※いくつかに抜粋して記載してます。

  • 気管支喘息がある被験者 副作用が約10倍発現しやすくなるとの報告があります。
  • 重篤な心障害のある被験者
  • 重篤な肝障害のある被験者
  • 重篤な腎障害のある被験者

ヨード造影剤の副作用について

副作用の発症するメカニズムは、物理特性、化学毒性、アナフィラキシー様反応、心理的要因等の要素が関連して発症するものと思われますが、原因の特定は困難だそうです。

現れる時期により分類されることがあります。

即時性副作用は造影剤投与直後、遅発性副作用は投与後1時間以上経過してから、超遅発性は投与後1週間以上経過してから発症するものを言います。

症状は軽症から重症まで様々です。
軽症は、悪心、嘔吐、熱感、くしゃみ、かゆみ、蕁麻疹など。
重症は、アナフィラキシーショック、けいれん、心肺停止など。

ヨード造影剤を使用するときに注意すること

腎機能について

腎機能障害がある場合、ヨード造影剤による急性腎不全や造影剤腎症が起こりやすいです。※ヨード造影剤による腎機能障害は、用量依存性です。

造影剤腎症(CIN)

ヨード造影剤投与後、72時間以内に腎機能低下が出現し、血清クレアチニン値が以前より0,5mg/dL以上、または25%以上増加した場合を言います。

対策として、投与量を最小限にする、腎保護作用を目的に水分補給や輸液を行います。

特にeGFRが、45mL/min/1.73m^2未満の慢性腎臓病(CKD)の場合は、生理食塩水や重曹輸液などの等張性輸液製剤を造影検査前後に投与することがガイドラインで推奨されています。

注意を要する内服薬

ビグアナイド系糖尿病薬

肝臓の糖新生(乳酸から糖を産生する)を抑制することで、血糖を低下させているため、乳酸が増加します。

腎機能障害がある場合、排泄が遅延し過量投与と同じような状態となるため、乳酸アシドーシスの発症に注意する必要があります。

そのため、造影検査の前後で内服を中止するなどの対策が行われます。

βブロッカー

ヨード造影剤の副作用で、アナフィラキシー様反応が出現した場合は、アドレナリン(エピネフリン)の投与が第1選択となります。

しかしβブロッカーを内服している場合、このアドレナリンの効果を弱めてしまうことがあります。そのときはアドレナリンでなく、機序が異なるグルカゴンを使用します。

※冠動脈CTの検査で使用されるβブロッカー(コアベータ)の血中半減期は4分だそうです。

内服薬の血中半減期が数時間(2時間とか)であることを考えると、非常に短いです。

よって冠動脈CTでコアベータを使用した際に、アナフィラキシー様反応が出現した場合に使用される薬剤については、施設の決まりや医師の決定となると思われます。

腎毒性を有する薬剤

抗菌薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗腫瘍薬などの腎毒性の強い薬剤の使用は造影剤腎症の危険因子となることがあります。