中枢神経と末梢神経、脳神経についてざっくりまとめます。
参考にしてください。
参考図書 メディックメディア社、病気がみえる vol.7 脳・神経
神経系
神経系は、大きく中枢神経と末梢神経に分類できます。
- 中枢神経系
脳と脊髄で、運動・感覚・自律機能などの生体の諸機能を統括します。
脳(大脳、中脳、橋、延髄、小脳)、脊髄(頚髄、胸髄、腰髄、仙髄、尾髄)
- 末梢神経系
末梢の各器官と中枢神経系を結びます。脳神経(12対)、脊髄神経(頚神経8対、胸神経12対、腰神経5対、仙骨神経5対、尾骨神経1対)
神経は多くの情報を、中枢や末梢に伝える働きをしています。次のようなものが代表的です。
- 運動神経 大脳からの運動指令を骨格筋などへ伝える神経です。
- 感覚神経 末梢の感覚情報を大脳へ伝える神経です。
- 自律神経 無意識に働く呼吸・循環・体温・消化などのホメオスタシスの維持に関わる神経です。
なお、中枢から末梢へ情報を伝える経路を遠心路、末梢から中枢へ情報を伝える経路を求心路と言います。
運動系(遠心路)の随意運動は錐体路というルートを通ります。延髄下部で交叉します。右大脳半球の指令は左半身へ、左半球の指令は右半身へ伝えられます。
- 大脳皮質の運動野→内包→延髄→脊髄→骨格筋
感覚系(求心路)の場合は、次のようなルートになります。
- 感覚器官→脊髄→延髄→視床→内包→大脳皮質の感覚野
ただし、表在感覚(温痛覚)と深部感覚(振動覚、位置覚)は、交差する場所が異なります。
- 表在感覚 末梢神経が脊髄に入った際に交叉します。
- 深部感覚 延髄下部で交叉します。
ややこしいですが、さらに交差しない感覚神経も存在します。深部感覚(小脳系)です。
- 感覚器官→脊髄→延髄→小脳
脳神経
脳神経は末梢神経に分類されて、頭頸部の運動や感覚、自律神経機能(副交感神経成分のみ、交感神経神経成分は含まない)に関与します。
左右12本ずつあり、Ⅰ~Ⅻの番号が付いています。あと機能の概要を書いておきます。
- Ⅰ:嗅神経、感覚(嗅覚)
- Ⅱ:視神経、感覚(視覚)
- Ⅲ:動眼神経、運動(眼球運動)
- Ⅳ:滑車神経、運動(眼球運動)
- Ⅴ:三叉神経
V1:眼神経 感覚(顔面)
V2:上顎神経 感覚(顔面)
V3:下顎神経 感覚(顔面)、運動(咀嚼) - Ⅵ:外転神経、運動(眼球運動)
- Ⅶ:顔面神経
運動(表情筋)
感覚(味覚)
副交感(涙、唾液の分泌) - Ⅷ:内耳神経
蝸牛 感覚(聴覚)
前庭 感覚(平衡) - Ⅸ:舌咽神経
運動(咽頭の挙上)
感覚(味覚、咽頭温痛覚、触覚)
副交感(唾液の分泌) - Ⅹ:迷走神経
運動(咽頭・喉頭の運動)
感覚(喉頭の感覚、内臓感覚)
副交感(胸腹部臓器の運動・分泌調節) - Ⅺ:副神経、運動(胸鎖乳突筋、僧帽筋)
- Ⅻ:舌下神経、運動(舌の運動)
この各脳神経には機能があり、運動に関与するもの、感覚に関与するもの、副交感神経を含めて複数に関与するものが混在しています。
そしてこれらを国家試験風にまとめると、次のような感じです。
少し文字が小さくなりましたが、ご了承ください。
脳神経 | 運動 | 感覚 | 副交感 | 神経核の場所 | 通る孔 | |
Ⅰ | 嗅 | 嗅覚 | 脳幹より上 | 篩骨篩板 | ||
Ⅱ | 視 | 視覚 | 脳幹より上 | 視神経管 | ||
Ⅲ | 動眼 | 上・下・内直筋 下斜筋 |
○ | 中脳 | 上眼窩裂 | |
Ⅳ | 滑車 | 上斜筋 | 中脳 | 上眼窩裂 | ||
Ⅴ | 三叉 V1:眼 V2:上顎 V3:下顎 |
咀嚼筋 | 顔面の感覚 舌の前2/3の 温痛覚、触覚 |
橋 | V1:上眼窩裂 V2:正円孔 V3:卵円孔 |
|
Ⅵ | 外転 | 外直筋 | 橋 | 上眼窩裂 | ||
Ⅶ | 顔面 | 顔面表情筋 アブミ骨筋 |
舌の前2/3の 味覚 |
唾液腺 (舌下腺、顎下腺) 鼻腺 涙腺 |
橋 | 内耳孔 |
Ⅷ | 内耳 | 聴覚 平衡感覚 |
橋 | 内耳孔 | ||
Ⅸ | 舌咽 | ○ | 舌の後1/3の 味覚、温痛覚 |
唾液腺 (耳下腺) |
延髄 | 頚静脈孔 |
Ⅹ | 迷走 | ○ | ○ | ○ | 延髄 | 頚静脈孔 |
Ⅺ | 副 | 胸鎖乳突筋 僧帽筋 |
延髄 | 頚静脈孔 | ||
Ⅻ | 舌下 | 舌筋 | 延髄 | 舌下神経管 |