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撮影技術で出題される撮影条件について

作成中の記事ですが、乗っけちゃいます!

撮影技術学などで時折出題されている撮影条件について書きます。

レントゲン撮影が中心になりますが、少しCTについても触れます。

62~70回まで調査しました。決行出題されている印象です。

ただしここでは、胸部撮影の高管電圧については割愛しますのでご了承ください。

 

Contents

過去に出題されている問題

第70回 AM 84 X線撮影におけるエアギャップ法で正しいのはどれか。
1.像が拡大する。
2.グリッドを使用する。
3.画像コントラストは低下する。
4.被写体と検出器を密着させて撮影する。
5.被写体で発生する散乱線量が増加する。

第69回 AM 84 X線撮影用グリッドの使用で正しいのはどれか。
1.被ばく線量が低下する。
2.乳房拡大撮影で使用する。
3.検出器に入る散乱線が増加する。
4.画像のコントラストが向上する。
5.管電流の大きさに応じてグリッド比を変える。

第68回 AM 84 X線撮影で被写体から発生する散乱線が増加するのはどれか。ただし、他の条件は一定とする。
1.管電流を下げる。
2.管電圧を高くする。
3.照射野を狭くする。
4.グリッドを使用する。
5.被写体と検出器間の距離を長くする

第67回 AM 84 同一部位の撮影で管電圧を90kVから130kVに上昇させたときに考えられるのはどれか。
1. 画像の拡大率が低下する。
2. 被検者の被ばく線量が増加する。
3. 被写体コントラストが低下する。
4. X線の骨組織での透過性が減少する。
5. 被検者から発生する散乱X線が減少する。

第67回 PM 84 被ばく線量の軽減に効果があるのはどれか。
1. 照射野を狭くする。
2. グリッドを使用する。
3. 通常よりも低い管電圧で撮影する。
4. 被検者から検出器までの距離を長くする。
5. 管電圧リプル百分率の大きいX線装置を使用する。

第66回 PM 69 X 線撮影でコントラスト対雑音比 〈CNR〉を向上させる方法で正しいのはどれか。 ただし、他の条件は一定とする。
1. 照射野を広くする。
2. 管電圧を低くする。
3. 撮影距離を長くする。
4. 管電流を小さくする。
5. 撮影時間を短くする

第65回 PM 70  X線撮影で患者被ばく線量が低減するのはどれか。ただし、他の条件は一定とする。
1. 照射野を広げる。
2. 管電圧を低くする。
3. 管電流を大きくする。
4. 付加フィルタを挿入する。
5. 焦点-被写体間距離を短くする。

第65回 PM 76  X 線 CT の撮影で正しいのはどれか。
1. 管電圧が高くなるほど画像ノイズは低下する。
2. 管電流が大きくなるほど画像ノイズは増大する。
3. ピッチが大きくなるほど被ばく線量は増加する。
4. 管電流が大きくなるほど低コントラスト分解能は低下する。
5. スライス厚が厚くなるほど高コントラスト分解能は向上する。

第64回 PM 70 X線写真の鮮鋭度が向上するのはどれか。
1. 撮影時間を長くする
2. 撮影距離を短くする
3. 感光材料の粒子径を大きくする
4. 被写体-検出器間距離を短くする
5. X線管焦点を小焦点から大焦点にする

第63回 PM 68 X線写真の鮮鋭度を向上させないのはどれか。
1. 照射野を大きくする
2. グリッドを使用する
3. 撮影距離を長くする
4. 可能な限り短時間で撮影する
5. 被写体と受像面との間の距離を小さくする

第62回 出題なし

各撮影条件について

 

被写体から発生する散乱線について

散乱線は画像のコントラストを低下させる原因となります。

その散乱線はX線が物質と衝突することで発生します。
話を単純にするため、空気以外で原子番号等は考慮しないことにします。

散乱線が増加するのは次の通りです。

  1. 被写体厚が厚い
  2. 照射野が広い
  3. 管電圧が高い

①と②は、覚えやすいと思います。

③は、X線と物質が衝突する際にコンプトン効果の寄与する割合が増加するからだそうです。

診断領域などで使用されるX線のエネルギーは、ほとんどが光電効果とコンプトン効果です。

参考までに、光電効果とコンプトン効果がそれぞれ50%の確率となるのが、次の実効エネルギーの時です。

  • 軟部組織(水)≒26keV 管電圧では大体50kV行かないくらい
  • 骨≒45keV 管電圧では120kVを超えるくらい

現場では、管電圧が60kV程度から被写体の厚さなどを見て、散乱線を意識するのが良いと思います。

コントラストの改善、パネルなどに到達する散乱線について

パネルなどに到達するX線で画像が形成されますが、散乱線はその画像を劣化させる要因となります。具体的にはコントラストが低下します。

この散乱線を減らして、コントラストを改善するには次の通りです。

  1. グリッドを使用する(散乱線を除去する)
  2. エアーギャップ法を利用する(散乱線が届かなくする)
  3. 管電圧を下げる
  4. 照射野を狭くする

①、②はパネルなどに到達する散乱線を減少させます。

ただし、次のようなデメリットもあります。

①は被ばく線量の増加、②は像の拡大、鮮鋭度の減少、被ばく線量の増加

③、④は、被写体から発生する散乱線を減少させます。

 

CT撮影の管電圧について(2019/1/28 追記)

管電流と撮影時間が線量とどのように関連するかは、[mAs]で考えれば理解しやすいと思います。

管電流、撮影時間が大きくなれば、その分線量も掛け算的に増加します。(管電流を2倍にしたら、線量も2倍とか)

では、管電圧についてはイメージができるでしょうか?

結論から言いますと、CTでも管電圧を上げたり下げたりすると線量が変化します。

ただし単なる掛け算ではありません。

具体的には、次のようなことが言われます。

管電圧を120→135[kV]にしたら、線量は40% 増加します。
管電圧を120→80[kV]にしたら、線量は65% 減少します。

このことから、CT撮影において管電圧を上げると、次のような特徴があります。

  • 画像ノイズは、減少します。
  • 画像ノイズを保ったまま、被ばく線量を減少させることができます。
  • 透過力が上がるので、画像コントラストは低下します。