循環器の疾患についてとしてますが、肺血栓症や深部静脈血栓症について書いてます。
参考にしてください。
参考図書 メディックメディア社、病気がみえる vol.2 循環器
深部静脈血栓症(DVT:Deep Venous[Vein] thrombosis)
下肢の深部静脈系に血栓を生じ、静脈閉塞を起こしたものを言います。
解剖学的に左下肢に血栓が生じやすいです。それは左腸骨静脈は、右腸骨動脈と仙骨に圧迫され、血流が停滞することがあるためです。
症状
片側の下肢の腫脹、うっ血による色調変化、緊満感、Homans症候群などの症状があります。
Homans症候群とは、下肢を進展させた状態で足部を背屈させると、ふくらはぎに疼痛が生じることを言います。
誘因
静脈血栓は、血流停滞・静脈壁障害・血液凝固能亢進(Virchowの3成因)を起こす様々な要因が関与している。
- 血流停滞 長期臥床、妊娠、長時間の座位、脱水など
- 静脈壁障害 手術(特に骨盤部)、外傷、中心静脈カテーテル留置など
- 血液凝固能亢進 悪性腫瘍、炎症、膠原病、経口避妊薬など
肺血栓塞栓症(PTE:Pulmonary Thromboembolism)
肺動脈に血栓が塞栓した状態を言います。

PTEは深部静脈血栓で生じた血栓が、静脈血流によって肺に到達することで発症する重大な合併症です。
症状
突然の呼吸困難や胸痛、低酸素血症を伴います。
原因
手術後や長期臥床など深部静脈血栓が発症しやすい状態の後に、運動を開始したときに好発します。
DVTが存在している場合、PTEを予防するために、下大静脈(IVC)フィルターを留置することもあります。

IVCフィルタ
臨床現場でも、呼吸困難やSpO2低下などの原因検索で胸部単純CTを実施することがよくあります。
検査をした結果、肺炎なども含めて明らかな原因が見つからないことがあります。
そんな時、PTEを疑うことが大切になります。
単純CTでウィンドウ値を変更することで、わかる場合もありますが、確定診断はできません。
そんな時に役立つのが、Dダイマーです。
Dダイマー
血栓中の安定化フィブリンの分解によって生じるものらしいです。
Dダイマーの上昇は、血栓傾向(凝固系の亢進)とそれに伴う線溶系(血栓の溶解反応)の亢進を反映します。