診療放射線技師を目指す学生に、国家試験で役立つ情報を提供しています。
頭部

硬膜外血腫と硬膜下血腫

硬膜外血腫と硬膜下血腫は、国家試験にも多く出題される病気です。

新卒技師の方も、画像を見て区別できるレベルではなく、原因や特徴などの知識を整理しておくと良いと思います。

出血する部位により、硬膜外血腫、硬膜下血腫に分けられます。

急性期では、意識障害、片麻痺、頭蓋内圧亢進のため嘔吐などの症状が見られます。

これらの鑑別には、画像診断が有用になります。

髄膜は、頭蓋骨側から硬膜・クモ膜・軟膜で形成されています。
正常時は、頭蓋骨と硬膜、硬膜とクモ膜は密着しています。

 

急性硬膜外血腫

急性硬膜外血腫は、Acute epidural hematomaと言います。私は略語をあまり聞きませんが、AEDHと言われるみたいです。

病態

頭蓋骨骨折を伴うような強い衝撃が原因で、頭蓋骨と硬膜の間に出血が起こり、血腫を形成した状態です。

出血源

出血源となる血管は、硬膜を走行する中硬膜動脈が多く、側頭部に血腫が形成されます。

画像診断

頭蓋骨と硬膜は、強く結合しています。

よって血腫は、横方向でなく、脳側へ広がることになります。これが凸レンズ型の血腫を形成します。

治療法

血腫の量や脳圧排の程度によりますが、緊急に開頭し、血腫除去、止血を行います。

急性急性膜下血腫

急性硬膜外血腫は、Acute subdural hematomaと言います。時折略語を聞くこともあります。ASDHと言います。

病態

頭部外傷などが原因で、硬膜とクモ膜の間に出血が起こり、血腫を形成した状態です。

脳挫傷を伴うことが多く、受傷直後より意識障害が見られます。

急性硬膜外血腫と比較し、

  • 脳浮腫・脳腫脹が重篤
  • 重篤な脳挫傷・脳内血腫を伴うことが多い
  • 血腫の広がりも早い

これらの理由から、予後は不良です。

児童虐待の死因の第1位となります。揺さぶり症候群などが多く、架橋静脈の断裂や、脳組織の損傷が原因となります。

出血源

出血源となる血管は、脳表の動静脈や架橋静脈です。

架橋静脈

クモ膜下腔を走行し、硬膜下腔を通過して静脈洞に繋がっている静脈のことです。

画像診断

硬膜とクモ膜の結合は弱いため、横方向に広がりやすいです。これが三日月型の血腫を形成します。

硬膜下血腫は、ぶつけた側と真反対に出血が生じることも多いです。
これを、contrecoup injuryと言います。

現場で「コントラクー」と聞いたら、受傷の対側であるということです。

治療法

血腫の量や脳圧排の程度によりますが、緊急に開頭し、血腫除去、止血を行います。

 

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫は、英語でChronic subdural hematomaと言います。

良く略してCSDHと言われます。

病態

軽度の頭部外傷などが原因で、硬膜下腔(硬膜とクモ膜の間)に、被膜がある血腫を形成した状態です。

被膜の外膜には血管が富んでいて、外膜から少量の出血を繰り返し、徐々に血腫が大きくなります。

そのため、受傷後しばらくしてから発症します(数週間~2,3ヶ月後)。

高齢者やアルコール多飲者に好発します。

画像診断

硬膜とクモ膜は、強く都合しているわけではありません。よって血腫は、横方向に広がりやすいことになります。

つまり硬膜下血腫は、横方向に広がり、三日月型の血腫を形成します

微小な出血を繰り返していますが、CTでの吸収値は比較的低吸収域となります。

左慢性硬膜下血腫

症状

認知症みたいな症状を発症することも多く、認知症の検査に来たらCSDHであることも多いです。

また脳梗塞かと思ったら、CSDHであることも多いです。

ですから、認知症、脳卒中、正常圧水頭症、脳腫瘍などとの鑑別が重要となります。

治療法

脳を強く圧迫して、神経症状がある場合、正中偏位(midline shift)を認める場合などは、外科的治療法が必要となります。外科的治療法には、穿頭ドレナージ術(burr hole surgery)にて血腫の除去が行われます。

硬膜下水腫

クモ膜の損傷により、髄液が硬膜下腔に貯留する病態です。両側に生じやすく、意識障害が見られることもあります。