第72回 診療放射線技師 国家試験 撮影技術 PM の解説を作成しました。
良ければ参考にしてください。
参考図書
Contents
84 IVRによる治療前の脳血管造影像Aと治療後の脳血管造影像Bを示す。誤っているのはどれか。
1.正面撮影である。
2.DSA画像である。
3.ステント留置術が行われた。
4.内頸動脈が造影されている。
5.治療目的は脳動脈瘤の破裂防止である。


解 3
2.頭蓋骨等が写っていません。これはサブトラクションされているので、DSA(Digital Subtraction Angiography)画像になります。
サブトラクション画像(造影されている部分の画像) = 造影後の画像 ー 造影前の画像
石灰化も消えてしまうことに注意です。
4.左大脳半球の血管のみ造影されています。これは内頸動脈が造影されている画像になります。こちらでもう少し詳しく記載しています。
5.ステントではなく、コイルで動脈瘤を塞栓した画像になります。
85 医療廃棄物の処理について正しいのはどれか。
1.病原体別に容器を使い分ける。
2.容器に段ボール箱を使用する。
3.蓋がない解放した容器を用いる。
4.デバイス類は可能な限り再利用する。
5.使用済みの注射針はリキャップせず廃棄する。
解 5
針刺し事故に繋がるリスクがあるため、使用済みの注射針はリキャップせず廃棄します。
86 右足関節X線写真側面像を示す。立方骨はどれか。
1.ア 2.イ 3.ウ 4.エ 5.オ

解 5
解剖なので、教科書等で確認して下さい。と言いたいのですが、皆さんの教科書に載っていますでしょうか?
私の教科書には載っていませんでした。重なり等があるため、少し想像力が必要です。参考として、過去門の画像を貼ります。側面は通常、オレンジ矢印の方向から撮影します。

ア 距骨 イ 舟状骨 ウ 内側楔状骨 エ 踵骨
87 顔面単純CT像を示す。描出されていないのはどれか。
1.顎下腺 2.上咽頭 3.上顎洞 4.歯突起 5.鼻中隔

解 1
第69回 PM93 とほぼ同様の問題です。

88 管電圧70 kV、管電流100 mA、撮影時間0.5 s、SID 100 cm の撮影条件を管電圧および画像処理条件を変化させないで、管電流150 mA、SID 150 cm にした。同一濃度を得る撮影時間[s]はどれか。
1.0.25 2.0.5 3.0.75 4.1.25 5.1.5
解 3
各項目 | before | after | メモ |
管電流[mA] | 100 | 150 | 3/2倍になる。 |
撮影時間[sec] | 0,5 | T | |
SID[cm] | 100 | 150 | 3/2倍になる。 |
ここで一手間加えると、ミスが少なくなると思います。それは簡単な数値を代入してみることです。
距離の逆2乗というキーワードが先行して、ややこしくなってしまう場合が多いと思います。
例)管電流だけを2倍にした時の、必要な撮影時間は1/2倍
撮影距離だけを2倍にした時の、必要な撮影時間は4倍
この例を参考にすると
管電流 逆数にしてかけるから、2/3倍
撮影時間 2乗してかけるから、9/4倍
となります。
よって、0,5 × 2/3 × 9/4 = 3/4 =0.75[sec]
89 患者の被ばく線量の低減に直接寄与するのはどれか。
1.DRL 2.焦点サイズ 3.仮想グリッド 4.ノイズ除去処理 5.X 線付加フィルタ
解 5
1.DRLは、診断参考レベルのことです。この数値を目安にプロトコルを調整します。
2.焦点サイズは、出力される最大管電流に影響はありますが、線量の低減に直接寄与はしないと思います。
3.仮想グリッドは、グリッドを使用しないで、グリッドを使用した時と同様の画像ができます。グリッドを使用する時より、線量は減りますが、通常撮影と同等の線量となるため、解答ではないと思います。
4.画像のノイズを低減させる仕組みです。線量を減らしてノイズが増えても、計算で低減できますということです。被ばく低減にはなりますが、間接的であると思います。
5.X 線付加フィルタを付加すると、画像に寄与しない低エネルギー成分のX線をカットしますので、被ばくを低減することになります。
90 内視鏡を使用する造影検査はどれか。
1.ERCP 2.HSG 3.IVP 4.MRCP 5.PTC
解 1
1.ERCP endoscopic retrograde cholangiopancreatography 内視鏡的逆行性胆管膵管造影
※最近では、ERCPと言えば造影のみでなく、治療する意味合いがあるので注意です。
治療例 内視鏡的胆道結石摘出術 、EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)、EPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)、EBBD(内視鏡的経鼻胆管ドレナージ)、ステント留置等
2.HSG hysterosalpingography 子宮卵管造影
3.IVP intravenous pyelography 経静脈性腎盂造影法(静脈内注射、50ml)
※DIP drip infusion pyelography 点滴静注腎盂造影法(点滴静注、100ml)
IVP、DIPはどちらも静脈内に造影剤を投与して、5、10、20分後等の撮影を行い、腎・尿管・膀胱等の尿路の評価を行います。両者が異なるのは、造影剤の注入方法(時間)と注入量です。
5.PTC percutaneous transhepatic cholangiography 経皮経肝的胆管造影
91 X線写真を示す。異常を認める部位はどれか。
1.烏口突起 2.肩峰 3.鎖骨 4.上腕骨頭 5.肋骨

解 3
左鎖骨骨折
92 頸椎撮影の体位と観察部位の組合せで正しいのはどれか。
1.正面撮影————前縦靱帯
2.斜位撮影————後縦靱帯
3.開口位撮影———-黄色靱帯
4.側面<中間位>撮影—椎間孔
5.側面<前屈位>撮影—環椎歯突起間距離
解 5
1.正面撮影 → ルシュカ関節、全体像(C3以下)
2.斜位撮影 → 椎間孔
3.開口位撮影 → 歯突起、環椎、環軸関節
4.側面<中間位>撮影 → 全体像、環椎歯突起間距離
5.側面<前屈位>撮影 → 椎体の配列等、安定性、環椎歯突起間距離

93 冠動脈CTに用いられる画像表示法で、冠動脈内腔の中心線抽出が必要なのはど
れか。
1.VR 2.MIP 3.MinIP 4.Raysum 5.Curved MPR
解 5
臨床的には、VR、MIP、Curved MPRを作成します。
元画像から冠動脈を抽出して、各冠動脈の中心線を抽出して、Curved MPRを作成します。
その血管から、VRやMIP画像を作成します。
過去問に、1.VRと2.MIPがあったので、参照してください。Curved MPRの画像は見つかりませんでしたが、ネットで検索するとイメージ沸くと思います。
1.VR

2.MIP
