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第72回 CTMRI

第72回のCT・MRI関連の解説を作成致しました。

良ければ参考にしてください。

なお午前は問題数が少ないため、午前と午後合同で作成しています。

Contents

午前

10 MRI 装置について正しいのはどれか。

 1.RF パルスは横磁化を減少させる。
 2.スライス位置は受信バンド幅で決まる。
 3.RF コイルは大電流によって強磁場を作る。
 4.T1緩和時間は静磁場強度が強いほど短縮する。
 5.スライス厚は傾斜磁場勾配を強くすると薄く設定できる。

解 5

MRの様々なキーワードが出題されています。MRに関しての総合力のイメージです。

1.RF パルスは横磁化を減少させる。→ RFパルスの定義が難しいです。下の注意点を参照してください。いずれにせよ、減少ではないです。

2.スライス位置は受信バンド幅で決まる。→ スライス位置は共鳴周波数で決まります。詳細はこちらで確認お願いします。

3.RF コイルは大電流によって強磁場を作る。→大電流で強磁場を作るのは、静磁場です。

4.T1緩和時間は静磁場強度が強いほど短縮する。→T1緩和時間は、静磁場強度が強いほど延長します。こちらも参考にしてみてください。

5.スライス厚は傾斜磁場勾配を強くすると薄く設定できる。→ こちらで確認お願いします。

RF波(radio frequency:RF)

MRIで使用される電磁波パルスは、電磁波(非常に広範囲)の中のラジオ波の帯域に属しています。この領域は、X線や可視光線と比べて非常に低いエネルギーの帯域となっています。

MRで使用するパルス = RFパルス ?

パルスシーケンスは、次のようなイメージで良いと思います。

パルスシーケンス = 予備パルス +(励起)RFパルス + 再収束 + 読取

  • 予備パルス:180°RF反転パルス、脂肪飽和パルス、MT(磁化移動)パルス、etc
  • (励起)RFパルス:スピンエコー法の90°パルス、グラディエントエコー法のフリップアングル<90°としたパルス
  • 再収束:180°パルス、傾斜磁場
  • 読取:割愛

これらを全てRFパルスと捉えるなら、横磁化の生成・消失・増加・減少に関わると思います。

 

それとも、(励起)RFパルス = RFパルス ?

こちらで捉えるなら、RFパルスは横磁化を生成するものと思われます。

15 FSE 法によって撮影されたT2強調像について正しいのはどれか。2つ選べ。

 1.骨皮質は高信号である。
 2.脂肪髄は高信号である。
 3.関節の靱帯は高信号である。
 4.眼球の硝子体は高信号である。
 5.脳の灰白質は白質よりも低信号である。

解 2・4

脂肪髄の画像を、過去問から入手出来ませんでした。なので解説は消去法みたいなアプローチになってしまいました。

18 頭部MRA像を示す。正しい組合せはどれか。

 1.A 内頸動脈  2.B 脳底脳脈  3.C 前大脳動脈  4.D 中大脳動脈  5.E 椎骨動脈

解 5

脳血管の解剖の問題です。良く出る問題なので、覚えましょう。

A 前大脳動脈、B 右中大脳動脈、C 脳底動脈、D 左内頚動脈

24 Gd – EOB – DTPAで正しいのはどれか。

 1.経口投与する。
 2.鉄を含有する。
 3.尿中には排泄されない。
 4.高齢者への投与は禁忌である。
 5.肝細胞に特異的に取り込まれる。

解 5

MRの造影剤についての問題です。

1.経口投与する。 → 静脈内に投与します。
2.鉄を含有する。 → EOBにFeは含まれません。
3.尿中には排泄されない。 → 尿と便で排泄されます。
4.高齢者への投与は禁忌である。 → 高齢者は関係ありません。

MRの造影剤については、こちらも参考にしてください。

MRで使用される肝特異性造影剤は、2つあります。EOBとSPIOです。

SPIO 超常磁性酸化微粒子 こちらの組成式には、Feが含まれます。

午後

5 X 線CT 装置のアーチファクトで装置の調整や整備が必要となるのはどれか。

 1.メタルアーチファクト
 2.リングアーチファクト
 3.モーションアーチファクト
 4.パーシャルボリュームアーチファクト
 5.ステップアップ<階段状>アーチファクト

解 2

アーチファクトを「A」と表記します。

1.メタルA → 金属等によるA。
3.モーションA → 体動によるA。
4.パーシャルボリュームA → スライス厚のCT値が平均されるために発生するA。
5.ステップアップ<階段状>アーチファクト → ヘリカルA・ウィンドミルA・再構成間隔に関連しています。

CTのアーチファクトについては、こちらも参考にしてください。

9 CT 値が85 HUである組織のX線減弱係数μAと、CT 値が10 HUである組織のX線減弱係数μBの比μA/μBに最も近いのはどれか。

ただし、μA、μBはいずれもCT装置で用いられるX 線に対する値とする。

 1.1.01  2.1.07  3.1.68  4.6.00  5.7.82

解 2

少し計算がややこしく見えますが、重要なのはCT値の公式です。

HUμA = (μA – μw)/μw × 1000 = 85
(μA – μw)/μw = 0.085
μA/μw = 0.085 + 1 = 1.085

HUμB = (μB – μw)/μw × 1000 = 10
(μB – μw)/μw = 0.010
μB/μw = 0.010 + 1 = 1.010

μA/μB =  (μA/μw) / ( μB/μw ) = 1.085 / 1.010
≒ 1.07

10 X線CT装置の自動露出機構について誤っているのはどれか。

 1.患者被ばくの低減に寄与する。
 2.部位や体型に応じて管電流を制御する。
 3.骨盤部では中腹部よりも線量を多くする。
 4.肺底部では肺尖部よりも線量を多くする。
 5.位置決め用スキャンデータから照射する線量を求める。

解 4

リファレンス検出器(CT-AEC)、CT-AECと呼ばれるやつです。

X線の出力をX線放射口、もしくは検出器の端で検出して、CT値の計算にフィードバックします。

位置決め画像から被写体の体格などを考慮して、X線透過度を推測します。そして本スキャンの時に、X線の管電流を自動で変化させる仕組みです。

肺尖部では、上肢や肩甲骨があるため、線量が多めとなることが通常です。

15 MRI に用いる造影剤について正しいのはどれか。2つ選べ。

 1.Gd造影剤はT1 緩和時間を短縮する。
 2.MRCP では造影剤を用いることはない。
 3.Gd造影剤はT2 緩和時間に影響を与えない。
 4.Gd – EOB – DTPA は肝腫瘍の診断に用いる。
 5.Gd造影剤による重篤な副作用は知られていない。

解 1・4

2.MRCP では造影剤を用いることはない。→経口消化管陰性造影剤を用いて、背景信号を抑制します。

3.Gd造影剤はT2 緩和時間に影響を与えない。→T2減衰にも影響があります。

5.Gd造影剤による重篤な副作用は知られていない。→重篤な副作用として、ショックやNSF等があります。

MRで使用する造影剤については、こちらも参考にしてください。

16 左膝関節MR 像のT2強調像Aとプロトン密度強調像Bを示す。誤っているのはどれか。

 1.A には膝蓋骨が描出されている。
 2.A には外側半月板が描出されている。
 3.B には前十字靱帯が描出されている。
 4.B には内側側副靱帯が描出されている。
 5.A、B いずれにおいても大腿骨骨髄の信号は正常である。

解 2

21 MRIの撮影法でBOLD<blood oxygenation level dependent>効果に最も鋭敏なのはどれか。

 1.EPI  2.FLAIR  3.FSE  4.SE  5.STIR

解 1

第71回 PM 24に類似問題が出題されていたので、解説を引用します。

Functional MRIは形態的な情報ではなく、脳機能に関する情報を画像化したものです。

例えば検査中に右手を動かしたら、左の運動野が活性化されるというのを画像に表す試みです。

これはBOLD効果をT2*で捉え、タスクと関連した部位を統計手法で求め画像化します。

BOLD効果(blood oxygenation level dependent)とは、血液の酸素化の度合いによってMR信号が変化する効果のことです。

なおEPI法がよく利用されます。

22 脳卒中の急性期に撮影された頭部MRIの拡散強調像を示す。矢印の高信号が反映している病態として正しいのはどれか。

 1.血液の貯留
 2.血管原性浮腫
 3.細胞障害性<細胞毒性>浮腫
 4.脳室の拡大
 5.脳の萎縮

解 3

この問題は非常に難しいと思います。とりあえずここらへんを覚えておけば良いと思います。

脳虚血超急性期のMRプロトコルとその目的

  • 拡散強調画像   細胞障害(細胞性浮腫)の早期検出。非可逆的
  • FLAIR   主幹部~半球枝閉塞の診断。
  • T2W   陳旧性梗塞の診断。超急性期出血の診断。

この問題が難しいと思う理由は、見る書籍で異なっていたからです。

ある書籍には、

脳梗塞となった場合は、血管性浮腫→細胞性浮腫の経過となる

と書いてありました。

困惑したので、放射線科医に教えてもらった方を、上に記載しました。

そしてさらに選択肢の、細胞性(細胞毒性)浮腫と血管原性浮腫については、下のように内容も難しいです。

脳浮腫の分類

  • 細胞性浮腫or細胞毒性浮腫
    • 虚血性 梗塞や低酸素虚血性脳症に伴います。エネルギー代謝障害に帰因し、ミトコンドリアでの酸化的リン酸回路が抑制され、ATPの産生が低下し、Na+/K+ ATPaseによるポンプ機能が消失するため浮腫を生ずるそうです。
    • 神経毒性 種々の原因で神経伝達物質であるグルタミンなどの興奮性アミンが細胞外腔に過剰に存在することにより、細胞膜のレセプターを介してNa+ポンプに作用して浮腫を生ずるそうです。
  • 細胞外性浮腫
    • 血管性浮腫 BBBの破綻により、水・蛋白質・電解質が細胞外腔に貯留する状態。腫瘍・出血・虚血・感染症・外傷など多くの病態で認められるそうです。
    • 間質性浮腫
23 MR 像を示す。正しいのはどれか。

 1.A は子宮である。
 2.T1強調像である。
 3.B は大転子である。
 4.大腿骨頭は両側とも正常である。
 5.脂肪抑制パルスが付加されている。

解 1

皮下脂肪や腹腔内脂肪が高信号なので、脂肪抑制パルスは付加されていません。

24 脳のファンクショナルMRIで正しいのはどれか。

 1.造影剤を使用する。
 2.データ取得にFSE法を用いる。
 3.データ処理に最大値投影法を用いる。
 4.運動野を描出するために光刺激を行う。
 5.神経の活動に伴う血流変化を画像化している。

解 5

21の解説を参照してください。