第71回 医学大要 午後の解説を作成しました。
後半の方で他サイトの力を借りているとこもありますが、参考にしてください。
Contents
50 胸部を走行する神経はどれか。2つ選べ。
1.顔面神経 2.三叉神経 3.舌下神経 4.反回神経 5.迷走神経
解 4、5
アプローチの方法は、2通りあると思われます。
一つ目のアプローチは、選択肢1、2、3は、頭頸部などに分布するから、胸部までは行かないということ。
脳神経について、こちらも参考にしてください。
もう一つは、肺癌と嗄声の関係を覚えていれば解答できると思います。
肺腫瘍が大きくなり、迷走神経の枝である反回神経を圧排すると、嗄声の症状が出ることがあります。
このことから迷走神経、反回神経が胸部を走行していると解答できるのではないでしょうか。
51 急性期の膿瘍内部に主に観察されるのはどれか。
1.好酸球 2.好中球 3.形質細胞 4.好塩基球 5.リンパ球
解 2
膿瘍については詳しくありませんが、黄色ブドウ球菌が感染して発症することが多いようです。
白血球の中で、細菌に関連するのは好中球となります。
白血球の詳細については、こちらも参考にしてください。
52 原因がウイルスでないのはどれか。
1.梅毒 2.風疹 3.麻疹 4.C型肝炎 5.帯状疱疹
解 1
- 梅毒 → 梅毒トレポネーマ
- 風疹 → 風疹ウイルス
- 麻疹 → 麻疹ウイルス
- C型肝炎 → HCV
- 帯状疱疹 → ヘルペスウイルス
ここ数年を見ると、細菌かウイルスを問うのは2題でした。
あとは感染経路についてが多かったです。
いずれにせよ、比較的多く出題されている分野なので、まとめたページを作成する予定です。
53 癌とそれに関連する腫瘍マーカーの組合せで正しいのはどれか。
1.大腸癌 ーーー AFP
2.卵巣癌 ーーー PSA
3.子宮体癌 ーーー SCC
4.前立腺癌 ーーー CEA
5.肝細胞癌 ーーー PIVKA-Ⅱ
解 5
主な腫瘍マーカーを記載します。(前立腺=PSAは省略してます。)
青マーカーをした箇所は、臓器特異性が高い箇所を示しています。
SCC | AFP | PIVKA-Ⅱ | CEA | CA19-9 | |
食道癌 | ○ | ○ | |||
胃癌 | ○ | ○ | |||
大腸癌 | ○ | ○ | |||
肝細胞癌 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
胆道癌 | ○ | ○ | |||
膵癌 | ○ | ○ | |||
その他 | 扁平上皮癌(肺、子宮頸部など) | 腺癌 肺癌、甲状腺髄様癌など | 腺癌 卵巣腫瘍、子宮体癌、肺癌など |
その他 SPan-1 乳癌、肺癌、悪性リンパ腫
anti-p53 食道癌、大腸癌、乳癌
54 膝関節痛の原因とならないのはどれか。
1.腱板断裂
2.半月板損傷
3.変形性膝関節症
4.前十字靭帯損傷
5.内側側副靭帯損傷
解 1
腱板は、肩関節になります。ちなみに腱板は、次の4つで構成されています。
- 肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋
55 血液生化学検査で筋疾患のスクリーニングで用いられるのはどれか。
1.ビタミンD
2.カルシトニン
3.副甲状腺ホルモン
4.クレアチンキナーゼ
5.アルカリフォスファターゼ
解 4
一つの項目でも関連する疾患は複数ありますので、簡略化して書きます。
- 1.ビタミンD → 骨粗鬆症、副甲状腺機能亢進症
- 2.カルシトニン → 骨粗鬆症、甲状腺髄様癌、肺癌
- 3.副甲状腺ホルモン → 副甲状腺関連疾患、骨粗鬆症?
- 4.クレアチンキナーゼ → 横紋筋融解症、多発性筋炎
- 5.アルカリフォスファターゼ → 臓器障害(ALP1~6あり、肝臓、骨、胎盤、小腸などの疾患と関連あり)
一つずつ覚えていて解答するのは、困難と思われます。
この問題に限ってかもしれませんが、私は次のようにアプローチしました。
急性心筋梗塞の時は、心筋の壊死によって特有の酵素や蛋白(心筋障害マーカー)が流出します。このマーカーの中にCK-MBがあることから、解に到達することが可能です。
- クレアチンキナーゼ(CK)→ 骨格筋も含めた筋障害で変化あり。
- CK-MB → 心筋の障害のみで変化あり。
参考までに、他の心筋障害マーカーは心筋トロポニンT、ミオグロビンなどがあります。
56 前縦隔に発生する頻度が高いのはどれか。2つ選べ。
1.胸腺腫 2.奇形腫 3.中皮腫 4.神経鞘腫 5.サルコイドーシス
解 1、2
同様の問題が 第65回医学大要 午後18に出題されています。
縦隔腫瘍には、覚えやすい?語呂があります。
まずはこれを覚えて、含まれる臓器については、差分もしくは覚えづらい箇所を覚えるという形がオススメです。
- 前から胸子は変だった
- 中々立派な心気管車に乗って
- 後ろの精神科へ

57 先天性心疾患で最も発生頻度が高いのはどれか。
1.動脈管開存症
2.心室中隔欠損症
3.心房中核欠損症
4.肺動脈弁狭窄症
5.ファロー四徴症
解 2
先天性心疾患は、心臓の発生過程での心血管系の構造異常が原因で、出生後の循環が異常となる疾患群のことを言います。
先天性心疾患は、全新生児のうち1%前後で、心室中隔欠損症が最も多いそうです。
- 心室中隔欠損症 56.6%
- 肺動脈弁狭窄症 9.6%
- 心房中隔欠損症 5.3%
- 動脈管開存症 3.6%
- ファロー四徴症 4.5%
58 欠乏すると赤血球産生が低下するのはどれか。2つ選べ。
1.鉄 2.亜鉛 3.ヨウ素 4.ビタミンK 5.ビタミンB12
解 1、5
貧血は、末梢血中のヘモグロビン濃度が基準値より低下した状態を言います。
原因は、赤血球の産生量<赤血球の消失量 となります。
赤血球の産生減少
- エリスロポエチンの産生低下
- 造血幹細胞の異常(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群)
- DNA合成障害(巨赤芽球性貧血)
- ヘモグロビン合成障害(鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血など)
この中で、次のような関連があります。
- 鉄欠乏性貧血 → 鉄の欠乏
- 巨赤芽球性貧血 → B12の欠乏、葉酸の欠乏
59 下垂体の異常によって起こるのはどれか。2つ選べ。
1.尿崩症 2.先端巨大症 3.ダウン症 4.バセドウ病 5.パーキンソン病
解 1、2
尿崩症、先端巨大症、バセドウ病は内分泌疾患でも良く出題されています。詳細はこちらを参考にしてください。
3.ダウン症 → 遺伝子疾患。常染色体の21番染色体が通常より1本多く存在し、計3本(トリソミー症)になることで発症する先天性疾患群です。
5.パーキンソン病 → 中脳の黒質の細胞が変性することにより、ドパミン産生が低下し、スムーズに体を動かせなくなる神経変性疾患です。詳細は、第70回医学大要AM62参照。
60 移植した場合に拒絶反応を生じる可能性が最も低いのはどれか。
1.角膜 2.肺 3.心臓 4.肝臓 5.腎臓
解 1
解答のみとさせてください。
61 一次救命処置における胸骨圧迫について正しいのはどれか。
1.剣状突起部を圧迫する。
2.1分間に60~70回の圧迫を行う。
3.AED使用開始後は胸骨圧迫は不要である。
4.成人の場合、胸骨が5~6cm沈む程度圧迫する。
5.2~3分ごとに10秒以上中断して脈拍の有無を確認する。
解 4
ガイドラインを参照します。
ちなみに胸骨圧迫は、現場でも行うことがあります。
- 胸骨圧迫の部位は胸骨の下半分とする。
- 深さは胸が約 5cm 沈むように圧迫するが、6cm を超えないようにする。
- 1分間あたり 100~120 回のテンポで圧迫する。
- なお、小児における深さは胸の厚さの約 1/3 とする。
- CPR 中の胸骨圧迫の中断は最小にすべきである。
- 人工呼吸や電気ショック(後述)を行うときに胸骨圧迫を中断するのはやむを得ないが、これらの場合でも胸骨圧迫の中断は最小にすべきである。
※心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation:CPR)
62 疫学について正しいのはどれか。
1.疾患の治療を目的とする。
2.横断研究では長期間の追跡調査を行う。
3.研究対象となる疾患は感染症のみである。
4.患者個人でなく、人間集団を観察対象とする。
5.介入研究の代表的な手法としてコホート研究がある。
解 4
ウィキペディアさんの力をそのままお借りすることにさせてください。
疫学(えきがく)は個人ではなく、集団を対象とし、疾病の発生原因や予防などを研究する学問。
元々は伝染病を研究対象として始まったが、その後、公害病や事故などの人災、地震などの天災、交通事故、がんなど生活習慣病など、研究対象・調査対象は多様化している。
63 平成28年の人口動態統計において、我が国の男性のがん死亡が最も多いのはどれか。
1.肺がん 2.胃がん 3.肝がん 4.大腸がん 5.前立腺がん
解 1
第67回 医学大要 PM63 の解説をそのまま貼り付けます。
統計問題は平成27年の統計を参照しました。
- 悪性新生物による死亡者数は、30%に届かない程度です。
- 男性では、胃癌の罹患者数が最も多いそうです。
- 男性のがんによる死亡で最も多いのは、肺癌だそうです。
- 女性のがんによる死亡で最も多いのは、大腸癌だそうです。
参考までにネットで調べた数値を、死亡数と罹患率に分けて書いておきます。

64 総務省統計局の人口推計(平成30年3月確定値)における我が国の65歳以上の人口の割合に最も近いのはどれか。
1.8% 2.18% 3.28% 4.38% 5.48%
解 3

ネットで調査しました。そのまま貼り付けます。
「我が国の総人口は、平成29(2017)年10月1日現在、1億2,671万人となっている。 65歳以上人口は、3,515万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も27.7%となった。」
ちなみに65歳以上の人口が、全人口に対して 7%を超えると「高齢化社会」 14%を超えると「高齢社会」 21%を超えると「超高齢社会」 と言うそうです。