第70回 診療放射線技師 国家試験 CTやMRIについて 午前の解答を作成しました。
参考にしてください。
Contents
11 CT値が50 HUである物質のX線減弱係数μaと水のX線減弱係数μwとの比μa/μwはどれか。
1. 0.50
2. 1.05
3. 1.50
4. 5.05
5.50.0
解 2
CT値を求める公式に代入すれば、解答できます。

CT値 = (μa – μw)/μw×1000
50 = ( μa- μw)/μw×1000
50/1000 = μa/μw-μw/μw
μa/μw = 50/1000 + μw/μw
=0,05 + 1 =1,05
12 MRI 装置について誤っているのはどれか。
1.RF コイルは受信コイルとして機能する。
2.高周波回路系送信部はRFパルスを生成する。
3.傾斜磁場コイルでスピンの位置情報を付加できる。
4.高周波回路系受信部はMR 信号をデジタル化する。
5.QD<quadrature detection>コイルは傾斜磁場コイルの一つである。
解 5
QDコイルは、2つのコイルが直行に配置されています。
それぞれのコイルから取得した90°位相が異なる2つの信号を、位相を揃えて足し合わせて信号を2倍にします。ただノイズも増加するため、√2倍のSNRとなります。
また傾斜磁場にどのようなコイルが使用されているか、次のようでした。
- Z軸 マックスウェル・コイル・ペア
- XY軸 平行四線型コイル(オープンMRI)やGolay型コイル(超伝導磁石MRI)
13 MRI 撮影時に生じる大きな音の発生源はどれか。
1.静磁場磁石
2.受信用コイル
3.送信用コイル
4.傾斜磁場コイル
5.クライオスタット
解 4
MR検査中に騒音が発生するのは、傾斜磁場コイルに流れる電流が電磁力を発生するためです。
15 パラレルイメージングを併用した高速スピンエコー法で撮影した場合の撮影時間
sはどれか。ただし、TR 4,000 ms、TE 100 ms、FOV 32 cm、周波数エンコード数512、位相エンコード数256、エコートレイン数32、加算回数2、パラレルイメージングファクタ4とする。
1. 8
2. 16
3. 32
4.262
5.512
解 2
MRの撮像時間は、次式で表されます。
撮像時間 = TR × Ny × NEX ÷ ETL
TR:繰り返し時間、Ny:位相エンコードステップ数、NEX:加算回数、ETL:エコートレイン数
この問題では、パラレルイメージングを利用しています。
パラレルイメージングは、位相エンコードステップ数を減らすことで、撮像時間を短縮する手法です。どれくらい撮像時間を短縮できるかは、リダクションファクターなどと言われます。(ここでは、パラレルイメージングファクタです。)この数値で撮像時間を「÷」ことで求められます。
よってこの問題の数値を公式に代入すると、
撮像時間 = 4000 × 256 × 2 ÷ 32 ÷ 4
= 1600[ms] =16[s]
16 拡散強調像について誤っているのはどれか。
1.見かけの拡散係数が得られる。
2.b 値はMPGパルスの間隔を示す。
3.急性期脳梗塞の診断に用いられる。
4.撮影には一般的にEPI 法が用いられる。
5.組織の水分子のブラウン運動の大きさを画像化する。
解 2
b値は、拡散強調画像で用いられるファクターです。
このb値は、どれくらい拡散を強調させるかという値になります。
そのb値のパラメータは、MPGの強度、2つのMPG間隔、印加時間からなります。
MPG:motion probing gradientは、動きを検出するために印加する傾斜磁場のことです。
17 TOF法MRAで血管内の信号低下の原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
1.渦流
2.栓流
3.層流
4.乱流
5.定常流
解 1、4
血流の種類は、いくつかあります。
- 栓流 流速が一定の理想的な血流
- 層流 中央が速く、血管壁に向かうほど遅くなる血流。実際の血流は、ほとんどが層流です。
- 乱流 流速や方向が無秩序な血流。血管分岐部や狭窄部の遠位部で生じやすいです。
- 渦流 中央と反対向きの血流。
この中で、TOFの信号低下と関連する流れは乱流と渦流になります。
18 MRIのアーチファクトで正しいのはどれか。
1.マジックアングルアーチファクトはT2強調像で強く現れる。
2.化学シフトアーチファクトは静磁場強度が高いほど大きくなる。
3.折り返しアーチファクトはスライスを厚くすることで回避できる。
4.モーションアーチファクトはインターリーブ法によって抑制できる。
5.エヌハーフアーチファクトは信号のデータ収集を打ち切ることで生じる。
解 2
MRのアーチファクトについてを参照してください。
19 脳白質神経路の走行を推定するのに用いられるのはどれか。
1.ASL <arterial spin labeling>
2.BOLD <blood oxygenation level dependent>
3.DTI <diffusion tensor imaging>
4.MRA <magnetic resonance angiography>
5.VBM <voxel-based morphometry>
解 3
各撮像法と目的は、次のようになります。
- ASL 脳血流
- BOLD ファンクショナルMRI
- DTI 神経
- MRA 血管
- VBM データベースに蓄積されている画像を基に、 画素毎に脳形態の画像解析を行う
20 乳腺専用コイルを使用して撮影した同一断面のMR 像を示す。正しいのはどれか。
1.AはT2強調像である。
2.仰臥位での撮影である。
3.位相方向は左右方向である。
4.B は脂肪抑制T1強調像である。
5.C は脂肪抑制T2強調像である。

解 3
位相方向を左右方向に設定するのは、心臓の拍動や呼吸によるmotion artifactが乳房にかからないようにするためです。
次は画像のシーケンスについて、考えてみます。
- A 皮下脂肪が高信号で観察できます。乳房には乳腺があることも予測されます(脂肪性乳房なら全部が高信号のため)ので、乳腺が低or等信号となっています。T1Wが予想できます。
- B 皮下脂肪の信号が抑制されています。また乳房中心部は高信号で観察でき、乳腺と予測できます。T2W系の脂肪抑制であることが予想できます。
- C 皮下脂肪の信号が抑制されています。心臓や大動脈が著名に高信号で抽出されています。造影T1W 脂肪抑制であることが予想できます。
また乳房MRIは専用のコイルを使用し、腹臥位で検査を行います。
23 頭部MRAのMIP 像を示す。矢印で示す脳動脈瘤が存在する断面はどれか。
1.ア
2.イ
3.ウ
4.エ
5.オ


解 3
MIP画像を参照すると、動脈瘤が存在するのは左内頚動脈であることが予想されます。
選択肢のアキシャル画像を参照すると、ウのスライスでは左内頚動脈と動脈瘤を観察ることができます。
実際の現場でも、VRやMIPなどの画像で動脈瘤を疑った場合などは、元画像で確認する作業が大切になります。

24 膝関節MRI の冠状断像を示す。矢印で示すのはどれか。
1.顆間隆起
2.外側半月板
3.前十字靱帯
4.後十字靱帯
5.内側半月板

解 3
後日更新予定です。
臨床画像が使えませんので、手作り感満載のイラストを掲載します。
サジタル(矢状断)で考えると、イメージつきやすいと思います。
問題のコロナール画像が、右とか左とか重要なわけではありません。ACLが脛骨前方に付着していて、走行がイメージできていると解答しやすいと思います。
ACL:前十字靭帯、PCL:後十字靭帯です。
