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CTやMRI

69回 CTやMR関連 午後

第69回国家試験のCTやMR関連の問題の解説を作成しました。

参考にしてみてください。

8 X 線の減弱係数が水の1.2 倍である組織のCT値HUはどれか。

1. 2
2. 12
3. 20
4.120
5.200

解 5

CT値を求める公式に代入すれば、解答できます。

CT値 = (μt – μw)/μw×1000
= (1,2μw – μw)/μw×1000
= 0,2 × 1000
= 200

 

9 造影CT像から作成した再構成画像を示す。用いられている画像処理法はどれか。

1.仮想内視鏡
2.surface rendering法
3.volume rendering <VR>法
4.multi-planar reconstruction <MPR>法
5.maximum intensity projection <MIP>法

解 3

画像は、volume rendering <VR>法です。

MPRは、矢状断や冠状断のことを言います。

MIPは、次のようなものを言います。

MIP画像

 

10 CTのアーチファクトでないのはどれか。

1.リング
2.シャワー
3.コーンビーム
4.ケミカルシフト
5.ビームハードニング

解 4

ケミカルシフトは、MRのアーチファクトになります。水と脂肪の共鳴周波数のズレや位相ズレが関係しています。

ケミカルアーチファクトについては、こちらを参考にしてください。

CTのアーチファクトについて、CTのアーチファクトについても参照してください。

 

11 MRIにおいてSN比が上昇するのはどれか。

1.TR を短くする。
2.TE を長くする。
3.加算回数を増やす。
4.スライスを薄くする。
5.パラレルイメージングを併用する。

解 3

SN比とは、SNR(signal to noise ratio)信号対雑音比のことです。

このSNを求める公式もあります。

こちらのページのSNRを参考にしてください。

 

12 MRI における傾斜磁場について正しいのはどれか。

1.スリューレートの単位はT/mである。
2.最大傾斜磁場の単位はT/m/s である。
3.傾斜磁場コイルはRFコイルと兼用することができる。
4.傾斜磁場コイルは静磁場コイルの外側に配置されている。
5.傾斜磁場コイルはx、y、z のそれぞれの方向に必要である。

解 5

静磁場コイルのすぐ内側に配置されているのが、傾斜磁場になります。

その傾斜磁場の役割には、次のようなものがあります。

傾斜磁場の性能には、次のようなものがあります。

  • 最大傾斜磁場強度 1m先の磁場強度をどれだけ変化させられるか[mT/m]
  • スルーレイト 傾斜磁場の立ち上り時間特性を示す[mT/m/ms]

スルーレイトが高いと、傾斜磁場のスイッチングが高速ででき、撮像時間の短縮になります。

 

14 JIS で定められた不変性試験項目のうち、X線CT装置と磁気共鳴画像診断装置の両方で行うのはどれか。2つ選べ。

1.スライス厚
2.空間分解能
3.信号ノイズ比
4.幾何学的ひずみ
5.患者位置決め精度

解 1、2

CTの不変性試験の項目には、次のようなものがあります。

  • 患者指示器(天板)の位置決め(3ヶ月)
  • 患者位置決め精度(3ヶ月)
  • スライス厚(1ヶ月)
  • 線量(6ヶ月)
  • ノイズ、平均CT値および均一性(1ヶ月)
  • 空間分解能(3ヶ月)

MRについては、書籍やWEBなどで調べてました。CTみたいに不変性試験には、これをやってくださいという内容は書かれていませんでした。

というのも不変性試験を行う目的は、

MR装置を受け入れ時に、最初に試験されたのとほぼ同じレベルで動作を続けていることを保証することである。(JIS4952より抜粋)

です。

そのために、不変性試験は,一連の迅速,簡単,高感度,堅ろう(牢),かつ,効果的な試験によって,MR 装置の全体的な状態を点検する。(JIS4952より抜粋)

つまり、機器購入時のパフォーマンスを維持できているかを普段から点検して下さいということです。

そのために以下の項目を点検してくださいということになります。

  • 信号ノイズ比
  • 均一性
  • スライス厚及びスライスプロファイル
  • 幾何学的ひずみ(歪)
  • 空間分解能
  • ゴースト

 

15 MRIの高速スピンエコー法で正しいのはどれか。

1.エコートレイン数を大きくするとMT効果は減る。
2.エコートレイン数よりも再収束パルス数は多くなる。
3.エコートレイン数を大きくすると撮影時間が短くなる。
4.エコートレイン数を大きくするとブラーリングは減る。
5.エコートレイン数と周波数エンコード数は同数である。

解 3

高速スピンエコー法(以降は高速SE法と記載します)は、
90°パルス(励起)の後に、180°パルス(収束用)を複数用いて、1度の励起で複数のエコーを収集するシーケンスです。

その高速SE法には、次のような特徴があります。

  1. コントラストの低下(異なるTEのデータが収集されるため)
  2. ブラーリング効果
    高周波成分領域に使用されるデータは、ETL後半(T2減衰の影響が大きい)
    の信号が用いられる。ぼけた画像となる。
  3. T2フィルタリング効果
    後半のTEでは、T2の長い組織の信号が反映されたコントラストとなる
  4. J couplingによる脂肪信号低下の抑制
    J結合、5~20Hz、TE25~100msで信号低下、高速SE TE20msec以下
    J couplingによる脂肪減衰が阻まれ、脂肪が高信号となる
  5. MT(Magnetization transfer)効果
    蛋白質などの高分子に結合した水分子は信号が低下する
  6. 磁化率効果
    磁化率効果の影響を受けにくい(SE法よりも)

特にJ couplingとMT効果は難しいと思います。なので相対的に脂肪の信号が高信号となると覚えておけば良いと思います。

 

16 生体内の代謝情報を取得できるのはどれか。

1.MRA
2.FLAIR 像
3.拡散強調像
4.MR hydrography
5.MR スペクトロスコピー

解 5

MRSは、magnetic resonance spectroscopyの略です。

ケミカルシフトを利用して、対象物質の分子構造・化学環境・濃度等の情報を得る手法です。こんなアウトプットが得られます。

MRSが臨床で多く行われているのは、脳腫瘍に対して行われています。正常脳、腫瘍の種類により、異なるスペクトルを示し、代謝物の増減の程度やピークの有無などが異なります。

MR hydrographyは、水成分をより強調したT2W画像のことです。heavy T2W画像と呼ばれることもあります。MRCP、腰椎のMR myelographyや頭部のMR cisteternographyなどのことを言います。

MR cisteternography        MRCP

 

17 頸椎のMRI を依頼された。その患者の頸椎X線写真を示す。この患者のMRIを行う際に適切なのはどれか。なお、使用されている金属はMRIを行っても安全な素材とする。

1.厚いスライスを用いる。
2.広い受信バンド幅を用いる。
3.撮影条件を変更する必要はない。
4.グラディエントエコー法を用いる。
5.1.5Tよりも3T のMRI装置を用いるのが望ましい。

解 2

画像を参照すると、頸椎の後方固定術後であることがわかります。

このような患者さんのMRIを撮像するときは、アーチファクトの影響を考慮する必要があります。

ですからこの設問は、アーチファクトをより少なくするには、どうしたら良いかを聞いています。

磁化率アーチファクト
物質の磁化率の差が原因で生じる現象で、画像の歪みや信号が消失します。
す。この設問では、金属が問題となります。

磁化率アーチファクトの影響の大きさ(シーケンスで比較)

EPI法>GRE法>SE法>高速SE法

エコープラナーイメージング法(以降はEPI法と記載します)で最も顕著に出現します。次にグラディエントエコー法(以降はGRE法と記載します)で出現しやすいです。これはGRE法が、180°パルスを使用せずに傾斜磁場の反転を用いることが関係しています。

スピンエコー法(以降はSE法と記載します)では再収束パルスを利用するため、GRE法に比べて出現しにくいです。

高速SE法では複数の180°パルスを使用するため、さらに出現しにくいです。

ちなみに、磁化率は次のような公式があります。

磁化(M)=磁化率(X)×H(磁場)

磁化率アーチファクトは、磁場が歪んでいるので、ケミカルシフトの考え方も必要となってきます。ケミカルシフトに関しては次のような関係があります。

ケミカルシフトの詳細は、こちらを参照してください。

  • 静磁場強度が大きいと、ケミカルシフトも大きくなる
  • バンド幅が小さいと、ケミカルシフトは大きくなる

よってこの問題の解答は、広いバンド幅を用いるとケミカルシフトの影響が小さくなる、つまり磁化率アーチファクトの影響を少なくすることが期待できるということになります。

 

18 脳のMRIで正しいのはどれか。

1.拡散強調像では脳脊髄液が高信号になる。
2.横断像を得るための基準線は耳垂直線である。
3.T2強調像で灰白質は白質よりも高信号となる。
4.MR cisternographyではガドリニウム造影剤を使用する。
5.微小な脳梗塞を描出するためにdynamic MRIを施行する。

解 3

MRの頭部撮像では、AC-PCラインで撮像することが多いです。

MR cisternographyで、ガドリニウム造影剤を使用することもありますが、必須ではありません。

微小な脳梗塞を描出するためには、造影剤ではなく、拡散強調画像もしくは拡散強調画像をボリュームで取得する方法もあります。

 

20 頸部MRA像を示す。矢印で示す血管アとイの組合せで正しいのはどれか。

  ア       イ
1.外頸動脈  鎖骨下動脈
2.外頸動脈  腕頭動脈
3.総頸動脈  腕頭動脈
4.内頸動脈  腕頭動脈
5.内頸動脈  鎖骨下動脈

解 2

図を参照してください。

 

21 胸部MR 像を示す。静脈血を含有する構造はどれか。2つ選べ。

1.ア
2.イ
3.ウ
4.エ
5.オ

解 1、2

心臓は、血液循環において重要な役割をになっています。その血液の循環は、

全身からの静脈血が流入します(大静脈)→右心系→肺動脈

→肺静脈→左心系→全身へ動脈血を送ります(大動脈)

となります。

静脈血と関連する部位は、大静脈、右心系、肺動脈になります。画像ではア右心房、イ右心室になります。

ちなみに、ウ左心室、エ左心房、オ大動脈となります。

 

22 腹部MR 脂肪抑制T1強調像を示す。矢印で示す構造はどれか。

1.胃
2.膵臓
3.脾臓
4.門脈
5.十二指腸

解 2

図を参照してください。

 

23 頭部MRI のT1強調像を示す。正しい組合せはどれか。2つ選べ。

1.ア脳梁
2.イ下垂体柄
3.ウ中脳
4.エ中脳水道
5.オ橋

解 1、5

図を参照してください。