診療放射線技師を目指す学生や若手技師に少し役立つ情報を提供します。
ホーム » 国試関連 » 第69回 医学大要 午前
a
国試関連

第69回 医学大要 午前

第69回 診療放射線技師 国家試験の過去問の解説をオリジナルで作成しました。
医学大要(午前)について、参考にして頂ければと思います。

Contents

50 最も腹側に位置するのはどれか。

1.胃 2.腎 臓 3.膵 臓 4.副腎 5.大動脈

answer

解 1

図を参照してください。70回PM93の画像問題を加工しました。胃透視の圧迫撮影をイメージして、腹側だから圧迫出来るというアプローチもありかもです。

51 リボソームが付着する細胞内小器官はどれか。

1.核小体 2.小胞体 3.リソソーム 4.ミトコンドリア 5.ゴルジ体

answer

解 2

小胞体は2種類あります。

  • 粗面小胞体 表面にリボソームが付着しています
  • 滑面小胞体 リボソームを持ちません

細胞関連の詳細について、こちらも参照にしてください。

52 喫煙と関連が少ないのはどれか。

1.狭心症 2.歯周病 3.肺気腫 4.肺腺癌 5.慢性気管支炎

answer

解 4

肺癌の中で、喫煙と強い関係があるのは扁平上皮癌と小細胞癌です。

肺腺癌は、喫煙との関連もありますが、非喫煙者の発症も多いことから解答となっていると思われます。

53 頭蓋骨を構成するのはどれか。2つ選べ。

1.距 骨 2.篩 骨 3.三角骨 4.蝶形骨 5.有頭骨

answer

解 2、4

この問題では副鼻腔をイメージすると、解答しやすいと思います。

副鼻腔は4つあります。

  1. 前頭洞
  2. 篩骨洞
  3. 蝶形骨洞
  4. 上顎洞

その他の選択肢は、図を参照してください。過去問題の画像を加工しました。

54 肺の栄養血管はどれか。

1.肺動脈 2.内胸動脈 3.肋間動脈 4.気管支動脈 5.外側胸動脈

answer

解 4

栄養血管と機能血管の問題です。表を参照してください。

部位 栄養血管 機能血管
気管支動脈 肺動静脈
心臓 冠動脈 肺動脈・大動脈
肝臓 肝動脈 門脈
55 膵臓から分泌されるホルモンはどれか。2つ選べ。

1.リパーゼ 2.インスリン 3.ガストリン 4.グルカゴン 5.アルドステロン

answer

解 2、4

膵臓は内分泌と外分泌の両方を分泌します。

産生、分泌しているホルモン(内分泌)は次の通りです。

  • α細胞 グルカゴン
  • β細胞 インスリン
  • δ細胞 ソマトスタチン

外分泌には、アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなどがあります。

56 尿量調節と関連が最も低いのはどれか。

1.レニン 2.バソプレシン 3.アルドステロン 4.ソマトスタチン 5.アンジオテンシン

answer

解 4

尿の生成には、主に次のホルモンが関与します。

レニン、アンジオテンシン、アルドステロン、バソプレシン、心房性ナトリウム利尿ペプチドでです。

ここらへんは、こちらも参考にしてみてください。

ソマトスタチンは膵臓から分泌されるホルモンで、インスリンやグルカゴンなどの分泌を抑制する働きがあります。

57 眼球運動に関わるのはどれか。

1.視神経 2.滑車神経 3.顔面神経 4.三叉神経 5.迷走神経

answer

解 2

眼球運動に関連する脳神経は、動眼神経、滑車神経、外転神経です。

第67回 医学大要 午前 57の解説をここに貼っておきます。

眼球運動に関連する筋を総称して、外眼筋と言います。外眼筋は次の筋で構成されています。

  • 上直筋
  • 下直筋
  • 内直筋
  • 外直筋
  • 上斜筋
  • 下斜筋

眼球運動と関連する筋の関係は、煩雑です。

ただし内外方向のみは単純で、直筋がそのまま当てはまります。
(内側:内直筋、外側:外直筋)

今度は眼球運動に関わる脳神経についてです。

眼球運動に関連する脳神経は、動眼神経、滑車神経、外転神経です。

外眼筋と、これら神経が複雑に関与することで、眼球運動は成立しています。

外眼筋と神経支配は次のような関係になります。

  • 上直筋…動眼神経
  • 下直筋…動眼神経
  • 内直筋…動眼神経
  • 外直筋…外転神経
  • 上斜筋…滑車神経
  • 下斜筋…動眼神経

マーカーのみ覚えて、後は動眼神経が覚えやすいでしょうか?

58 経口感染するのはどれか。

1.結核菌 2.サルモネラ菌 3.風疹ウイルス 4.梅毒トレポネーマ 5.インフルエンザウイルス

answer

解 2

サルモネラ属の多くの菌は食中毒の原因菌であり、急性胃腸炎を発症します。

結核菌は空気感染、風疹ウイルス、インフルエンザは飛沫感染です。

梅毒トレポネーマには、終胎盤感染(先天梅毒)と性交感染(後天梅毒)の経路があります。

感染については、こちらも参照してみてください。

59 高血圧を呈するのはどれか。

1.川崎病 2.慢性膵炎 3.褐色細胞腫 4.多発性骨髄腫 5.甲状腺機能低下症

answer

解 3

二次性高血圧の問題です。高血圧の原因となる疾患があり、その徴候として高血圧をきたすものです。

内分泌性高血圧ですと、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症、先端巨大症などの疾患があります。

高血圧について、こちらも参照してみてください。

60 眼窩吹き抜け骨折の症状として誤っているのはどれか。

1.複 視 2.鼻出血 3.眼窩気腫 4.眼球突出 5.視力障害

answer

解 4

眼球突出はバセドウ病の特徴です。その他の選択肢は、眼窩吹き抜け骨折の症状です。

バセドウ病の他の特徴等は、こちらも参照してみてください。

第67回 医学大要 午後 62 の解説を持ってきてます。

眼窩吹き抜け骨折についても、何年か集中して出題されていた印象です。

関連しそうなことを記載しておきます。

眼窩吹き抜け骨折
原因 外力が加わって眼窩周囲の骨が骨折し、そこから内容物が外に出てしまう状態を言います。

骨折しやすい部位 眼窩下壁、眼窩内側の順に骨折を生じやすいです。

検査 第一選択はCTもしくは単純X線です。
CTでは冠状断が有用で、骨折部位の他に眼窩内容物の逸脱などが観察することができます。
単純X線では眼窩周囲の骨折や上顎洞内の液体貯留が観察できることがあります。手術が必要となる場合もありますが、緊急手術の適応ではありません。

症状 眼球運動の障害や複視などが見られます。

61 小児に好発する脳腫瘍はどれか。

1.髄芽腫 2.髄膜腫 3.血管芽腫 4.下垂体腺腫 5.悪性リンパ腫

answer

解 1

小児の脳腫瘍は、白血病に次に多いです。

脳腫瘍の内訳として、神経膠腫が約半数で最も多く、胚細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫の順になります。

小児腫瘍については、こちらも参照してみてください。

62 白内障について誤っているのはどれか。

1.高齢者に多い。
2.水晶体の混濁を生じる。
3.主な症状は視力の低下である。
4.放射線被ばくは原因の一つである。
5.ほとんどの場合は薬物治療で改善する。

answer

解 5

白内障は、水晶体が濁ることで発症します。

加齢に伴って発生する場合が最も一般的ですが、放射線による確定的影響でもあります。

初期の段階ではあまり症状はありません。視力が低下し、眼科受診の際に指摘されることが多いです。

症状が進行すると、視界が暗くなったり、白っぽく霞んで見えたり、眩しく見えるようになります。放置しなければ基本的には失明する病気ではありません。

薬剤は、予防目的もしくは進行を遅らせることを目的としています。最終的には手術が必要になります。

63 染色体異常によって起こるのはどれか。2つ選べ。

1.クッシング症候群 2.シェーグレン症候群 3.ターナー症候群 4.ダウン症候群 5.ネフローゼ症候群

answer

解 3、4

ダウン症候群は有名ですが、あと一つで迷うと思います。ターナー症候群を選択できなくとも、他の選択肢を消去するアプローチも有効と思われます。

  • クッシング症候群  副腎皮質ステロイドホルモンのコルチゾールというホルモンの過剰分泌が原因です。
  • シェーグレン症候群 中年女性に好発する自己免疫疾患です。
  • ターナー症候群   性染色体異常症のこと。低身長,性腺異形成,特徴的奇形徴候などの特徴があります。
  • ダウン症候群    卵子や精子の分裂異常、または受精時に偶然に起こる染色体異常によるものです。
  • ネフローゼ症候群  原因は多様であるが、尿にタンパクがたくさん出てしまうため、血液中のタンパクが減り、むくみ(浮腫)が起こる疾患です。

ダウン症

常染色体の21番染色体が通常より1本多く存在し、計3本(トリソミー症)になることで発症する先天性疾患群です。

ターナー症候群

染色体異常症のうちの異数性の一つだそうです。

配偶子形成時の減数分裂過程での染色体不分離により、X染色体が1本少ないことによります。正常女性核型は 46,XX とX染色体が2本あるのに対して、X染色体が少なく 45,X となります。

64 予防にワクチンが用いられている疾患はどれか。

1.麻疹 2.C 型肝炎 3.HIV 感染症 4.MRSA 感染症 5.マイコプラズマ肺炎

answer

解 1

予防接種(定期、任意)がされているものの例をいくつか示します。

ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、麻疹、風疹、BCG、日本脳炎、インフルエンザ、水痘、A・B型肝炎、肺炎球菌などがあります。