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第68回 撮影技術学 午前

第68回 診療放射線技師国家試験 撮影技術学 午前の解説を作成しました。

参考にしてください。

参考図書

83 感染症患者に対する X 線撮影時の診療放射線技師の対応で正しいのはどれか。

1.感染情報は撮影終了後に入手する。
2.感染症患者の撮影はその日の最初に実施する。
3.感染症患者の撮影時に着用した手袋は一般ゴミとして処理する。
4.撮影時に空気感染の危険がある場合には N 95 マスクを着用する。
5.ノロウイルス患者の嘔吐物が付着した補助具はエタノールで消毒する。

answer

解 4

1.感染情報は撮影する前、当日の朝などに調査します。

2.午前の最後や当日の最後に検査を行うのが一般的です。

3.感染症患者の撮影時に着用した手袋は、感染源となる可能性もあるため、医療廃棄物として処理します。

5.ノロウイルスの消毒には次亜塩素酸ナトリウムが効果的です。

84 X線撮影で被写体から発生する散乱線が増加するのはどれか。ただし、他の条件は一定とする。

1.管電流を下げる。
2.管電圧を高くする。
3.照射野を狭くする。
4.グリッドを使用する。
5.被写体と検出器間の距離を長くする。

answer

解 2

管電圧は正直難しいですが、こちらを参考にしてみてください。

この問題では、「他の条件は一定とする」という一文が大切です。

被写体から発生する散乱線が減少するのは次の選択肢だと思います。

1.管電流を下げると、散乱する線量も減少すると思われます。画像のノイズは多くなると思われます。

3.照射野を狭くすると、撮影台などからの散乱線が減少します。

被写体から発生する散乱線に変化がない選択肢は次の選択肢だと思います。

4.グリッドを使用しても、被写体から発生する散乱線には変化がありません。

5.被写体と検出器間の距離を長くすると、受像機に到達する散乱線は減少します。しかし被写体から発生する散乱線には変化がありません。

85 X線写真を別に示す。撮影法で正しいのはどれか。

1.マルチウス法
2.ストライカー法
3.アントンセン法
4.コールドウェル法
5.ラウエンシュタイン法

answer

解 5

画像は股関節の撮影であり、ラウエンシュタイン法です。

マルチウス法は骨盤計測、ストライカー法は肩関節、アントンセンは踵骨、コールドウェル法は副鼻腔の撮影に用いられます。

86 乳房 X線撮影で乳房を圧迫した際に増加するのはどれか。

1.散乱線
2.乳腺の観察域
3.幾何学的ボケ
4.乳腺組織吸収線量
5.被検者の動きによるボケ

answer

解 2

乳房を圧迫するメリットは、次の通りです。

  • 乳房組織の重なりを分離して、観察できる範囲を広く描出できます。
  • 石灰化と周囲組織(乳腺組織など)のコントラストが向上します。
  • 動きによるボケを防止し、画像のブレなどを減らします。
  • 乳房厚の減少により散乱線の発生を減少するろ、コントラストが向上します。
  • 乳腺全域に適切な画像濃度を与えます。
  • 乳腺組織の吸収線量を減少させます。

マンモグラフィについては、こちらも参考にしてみてください。

87 造影剤を逆行性に投与する検査はどれか。2つ選べ。

1.食道造影 2.注腸造影 3.下肢静脈造影 4.子宮卵管造影 5.十二指腸造影

answer

解 2、4

食道造影、十二指腸造影は順行性に、経口法もしくは経管(ゾンデ等)法で注入します。

下肢静脈撮影は、順行性に足背の静脈内に造影剤を注入します。

子宮卵管造影(Hysterosalpingography:HSG)

子宮卵管造影は、子宮から造影剤を逆行性に注入します。子宮に注入した造影剤が、卵管の通過、骨盤腔内へ拡散する経過を撮影します。

HSGは、卵管の疎通性を確認する目的です。もし卵管が疎通していない場合は、閉塞部位や卵管の性状が診断でき、粘膜下子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内癒着、子宮奇形などの診断にも有用だそうです。

造影剤は、油性造影剤と水性造影剤があります。現在では、大抵水性造影剤が使用されていると思います。

国家試験的には、油性造影剤を使用した場合には24時間後、水性造影剤の場合には数分後に遅延撮影を行うというのが大切になると思います。

この遅延撮影は、卵管の通過性や骨盤腹膜の状態を知るために必ず行わなければならないそうです。

私の施設でも行われています。不妊の患者さんにHSGを行うことがあります。HSGを行うと卵管の癒着や卵管の通りが良くなることで、妊娠しやすくなるそうです。卵管に造影剤を流し、疎通させるので痛みがあると聞いたこともあります。

88 腹部 CT 像を別に示す。矢印で示すアーチファクトの原因はどれか。

1.患者の体動
2.部分体積現象
3.体内での線質硬化
4.X 線管焦点の荒れ
5.検出器チャネルの出力値異常

answer

解 5

画像ではリングアーチファクトが認められます。リングアーチファクトは、1個の検出器が、全ての投影角度で異常となる時に発生します。

CTのアーチファクトについても参照してください。

89 手根骨の正面 X線写真を示す。矢印で示すのはどれか。

1.舟状骨 2.月状骨 3.有頭骨 4.有鉤骨 5.大菱形骨

answer

解 5

下の画像を参照してください。

90 血管造影写真を示す。矢印で示すのはどれか。

1.脾動脈 2.左胃動脈 3.総肝動脈 4.固有肝動脈 5.胃十二指腸動脈

answer

解 3

腹部の血管造影の画像です。下の画像を参照して下さい。

91 頸部の造影 CT 像を示す。矢印で示すのはどれか。

1.気管 2.食 道 3.甲状腺 4.総頸動脈 5.内頸静脈

answer

解 3

頸部の解剖問題です。下の図を参照して下さい。

92 腹部 CT 像を示す。正しい組合せはどれか。

1.ア 肝静脈 2.イ 下大静脈 3.ウ 胃 4.エ 膵 臓 5.オ 脾 臓

answer

解 3

腹部の画像問題です。

  • ア 肝内胆管?単純画像のこのスライスのみでは判断は困難?
  • イ 大動脈
  • ウ 胃 臓器内に空気がある=食道、胃、十二指腸、小腸、大腸となります。
  • エ 下行結腸?場所的に脾臓と思われますが、臓器の形態から結腸と思われます。
  • オ 腎臓