第68回 診療放射線技師 国家試験のCTやMRI(午前)について、解説を作成しました。
参考にしてください。
11 X 線 CT 装置で検出器の出力を最初に受け取るのはどれか。
1.PACS
2.画像処理装置
3.再構成演算装置
4.画像データ保存装置
5.データ収集システム
解 5
データ収集システムは、DAS(data acquisition system)のことです。検出器から送られたしデータをA/D変換し、コンピュータに送ります。
コンピュータには、再構成演算装置、画像データ保存装置が含まれます。
画像処理装置もコンピュータに含まれると思われます。
PACSは、画像表示装置のことです。
12 MRI 装置の静磁場が強い場合、正しいのはどれか。
1.SAR が低下する。
2.縦緩和時間が短縮する。
3.T2* による影響が減少する。
4.撮影可能な範囲が狭くなる。
5.Larmor周波数は低くなる。
解 4
申し訳ありませんが、撮影可能な範囲が狭くなる理由がわかりません。よってこの問題は消去法で解答するのが、良いのではないでしょうか。
1.SAR が低下する。
→SARは大きくなる、上昇します。
2.縦緩和時間が短縮する。
→T1緩和時間は、延長します。
3.T2* による影響が減少する。
→磁場の不均一性は増します。
5.Larmor周波数は低くなる。
→静磁場強度が1.5Tから3Tになると、共鳴周波数も63.9MHzから128MHzになります。
13 MRI 装置で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.永久磁石は磁気材料の温度依存性が少ない。
2.永久磁石は超電導磁石に比べ維持費が安い。
3.超電導磁石の静磁場方向は体軸に平行である。
4.常電導磁石は常時液体ヘリウムで冷却する必要がある。
5.超電導磁石は超電導状態になれば液体ヘリウムは必要ない。
解 2,3
1.永久磁石は磁気材料の温度依存性が少ない。
→永久磁石の磁場強度は温度に依存する特性があります。
4.常電導磁石は常時液体ヘリウムで冷却する必要がある。
→液体ヘリウムが必要なのは、超伝導磁石です。
5.超電導磁石は超電導状態になれば液体ヘリウムは必要ない。
→超伝導状態は、液体ヘリウムで常に冷却することで維持できます。
14 造影剤自動注入器の使用で誤っているのはどれか。
1.MRI の造影剤自動注入器にシリンジタイプ造影剤を用いる。
2.MRI に用いる造影剤自動注入器は超音波モータを使用している。
3.血管造影検査に用いる造影剤自動注入器は X 線制御装置と連動する。
4.CT コロノグラフィでは硫酸バリウムを造影剤自動注入器で注入する。
5.X 線 CT にはデュアルインジェクタヘッドの造影剤自動注入器を使用する。
解 4
CTコロノグラフィの撮影時は、硫酸バリウムは使用しません。
15 MRI で撮影時間が 1/2 になるのはどれか。
1.加算回数を2倍にする。
2.SENSE factor を2倍にする。
3.位相エンコード数を2倍にする。
4.周波数エンコード数を 1/2 にする。
5.高速スピンエコー法のエコートレイン数を 1/2 にする。
解 2
MRの撮像時間は、MRの公式とか計算式とかを参照願います。
16 MRA で正しいのはどれか。
1.PC 法は血流の方向に MPG パルスを印加する。
2.PC 法は velocity encoding の設定が必要である。
3.TOF 法は流速の定量評価が可能である。
4.TOF 法は血流による位相変化を利用している。
5.TOF 法は撮影断面と平行な血管を描出しやすい。
解 2
1.PC 法は血流の方向に MPG パルスを印加する。
→血流の方向に合わせて、傾斜磁場を印加するわけではありません。
2.PC 法は velocity encoding の設定が必要である。
→PC法では、目的とする血管内の最大流速を設定する必要があります。このパラメータをVENC(velocity encoding)と言います。
3.TOF 法は流速の定量評価が可能である。
→PC法の説明です。
4.TOF 法は血流による位相変化を利用している。
→PC法の説明です。
5.TOF 法は撮影断面と平行な血管を描出しやすい。
→TOF法は、撮像断面と平行する血管の抽出は不得意です。
17 正常脳の 1H – MRSを示す。矢印で示す代謝物はどれか。
1.乳酸
2.コリン化合物
3.クレアチン化合物
4.ミオイノシトール
5.N -アセチルアスパラギン酸<NAA>

解 5
1H – MRSで見られる主な代謝物とピークについて、次のようになっているようです。
- NAA ーー 2.02
- Cr ーーー 3.03(-CH3)、3.91(-CH2)
- Cho ーー 3.22
- Lac ーー 1.33
- Lip ーー 0~2.0
18 Gd – EOB – DTPA で正しいのはどれか。
1.経口投与する。
2.強磁性体である。
3.尿中には排泄されない。
4.肝細胞に特異的に集積する。
5.高齢者への投与は禁忌である。
21 Gd – EOB – DTPA 投与 20 分後の腹部 MRI の脂肪抑制 T1 強調像を示す。矢印で示す構造はどれか。
1.胆管
2.膵管
3.門脈
4.肝動脈
5.肝静脈

22 頭部 MRI の T 2 強調横断像と点線のレベルの T1 強調冠状断像を示す。矢印で示す構造はどれか。
1.上直筋
2.下直筋
3.眼動脈
4.視神経
5.動眼神経

解 4
解剖の問題です。下の図を参照して下さい。

23 肝臓の MR像を示す。左葉にみられるのはどれか。
1.浮腫
2.壊 死
3.鉄沈着
4.脂肪沈着
5.ヨウ素沈着

解 4
腹部のMRI画像についての問題です。撮像されているシーケンスに、in phaseとopposed phaseがある時点で、脂肪の検出を目的としています。
そして画像を参照すると、opposed phaseで肝左葉が低信号となっていることから、脂肪成分が含まれていることを意味します。