第66回 診療放射線技師国家試験 撮影技術学の解説を作成しました。
第66回までは、午後に20問が出題されていました。
前半、後半にわけて解説を作成してます。
ここは後半です、参考にして下さい。
参考図書
Contents
78 X 線CT で正しいのはどれか。
1.正常な肝臓のCT 値は脂肪より高い。
2.石灰化の描出能はMRI より劣っている。
3.上腹部の単純CT では検査前日から絶飲食とする。
4.脳梗塞巣は正常な脳実質より高い吸収域を呈する。
5.消化管に残存する硫酸バリウムはアーチファクトとならない。
解 1
1.正常な肝臓のCT 値は脂肪より高い。→CT値を覚えていれば出来ると思います。
またCT画像をイメージするのも良いと思います。腹腔内脂肪や皮下脂肪は黒ですが、正常な肝臓は黒ではないと思います。よってCT値は、脂肪<正常肝とアプローチ出来ると思います。

2.石灰化の描出は、MRIよりCTの方が優れていると思います。
3.上腹部の単純CTでは、検査数時間前から食事を抜けば良いと思います。(1食抜くイメージで良いと思います。)胆嚢の収縮や消化管の蠕動運動に関係があります。
4.CTで脳梗塞巣は低吸収域として観察出来ます。
5.消化管に残存する硫酸バリウムは、アーチファクトの原因となります。
79 腹部のダイナミックCT で正しいのはどれか。
1.撮影は自由呼吸下で行う。
2.造影剤はボーラス投与する。
3.非放射性のXe ガスを使用する。
4.一度の息止めで多時相を撮影する。
5.位置決め画像の撮影は造影剤注入開始後に行う。
解 2
1.撮影は自由呼吸下で行う。
→呼吸によるmotion artifact、位置のズレが生じてしまいます。
3.非放射性のXe ガスを使用する。
→脳血流を評価するために、非放射性Xeガスを用いる検査があります。
4.一度の息止めで多時相を撮影する。
→通常のルーチンは、単純、動脈相、門脈相、遅延相を撮影します。遅延相は造影剤投与後、約180秒後に撮影されることが多いです。3分息を止め続けている必要はありません。
5.位置決め画像の撮影は造影剤注入開始後に行う。
→普通は、位置決め画像をはじめに撮影します。
80 DXA 法による骨塩定量検査で正しいのはどれか。
1.CT 装置を使用する。
2.骨密度の単位はg/cm2 である。
3.測定部位は第2 中手骨である。
4.軟部組織の影響を排除するために水を利用する。
5.アルミニウム製の基準物質を撮影する必要がある。
解 2
正解は2で難しいので、消去法のアプローチが有効と思われます。詳細は、骨塩定量についてを参照してください。
1.CT 装置を使用する。→QCT法
3.測定部位は第2 中手骨である。→MD法、DIP法、CXD法
4.軟部組織の影響を排除するために水を利用する。→QUS法と思われます。
5.アルミニウム製の基準物質を撮影する必要がある。→MD法、DIP法、CXD法
81 左手関節の後前方向のX 線写真を示す。正しい組合せはどれか。
1.ア ―――― DIP 関節
2.イ ―――― 基節骨
3.ウ ―――― 舟状骨
4.エ ―――― 尺 骨
5.オ ―――― 有頭骨

解 3

82 頸椎X 線正面写真を示す。正しいのはどれか。
1.開口させて撮影している。
2.ドッグラインが確認できる。
3.脊柱管の前後径を計測できる。
4.束ねた髪の毛が描出されている。
5.X 線中心は頭尾方向15°で斜入している。

解 4
1.頚椎正面撮影は開口しません。開口位は、こんな感じです。
2.ドッグラインが確認できるのは、腰椎斜位撮影です。
3.脊柱管の前後径は、側面像なら計測可能と思われます。
5.X 線中心は尾頭方向15°で斜入しています。頚椎正面、斜位撮影は尾頭方向から管球を振ります。側面像や開口位は管球は水平です。
83 胸部X 線写真を示す。最も考えられるのはどれか。
1.気 胸
2.肺水腫
3.間質性肺炎
4.胸部大動脈瘤
5.サルコイドーシス

解 5
正解は5のサルコイドーシスです。この疾患は両側の肺門リンパ節が腫脹することがありますので、その胸部レントゲン画像と予測できます。詳細は、胸部疾患の概要に記載してます。参考にしてください。
しかしこの問題は消去法が有効と思われます。
1.気胸は肺野の透過性が亢進します(黒くなります)。国試レベルでは、一目で透過性亢進が分かるような画像が出されると思います。
2.肺水腫は、心不全と時に蝶形陰影(バタフライシャドウ)のような形で観察できます。
3.間質性肺炎は、蜂巣陰影などが観察できます。
4.胸部大動脈瘤は、左第1弓が腫脹してみえます。
84 食道X 線造影写真とCT 像を示す。考えられるのはどれか。
1.食道癌
2.食道静脈瘤
3.逆流性食道炎
4.食道平滑筋腫
5.食道裂孔ヘルニア


解 1

2.食道静脈瘤 86のBの画像を使用してます。

3.逆流性食道炎 CTでは観察することはできないと思われます。透視でもバリウムが、胃から食道内に流れるのを観察することもありますが、主に内視鏡検査が主流と思われます。
4.食道平滑筋腫 食道壁は粘膜筋板と固有筋層の2層の筋肉層があります。この筋層から発生する良性腫瘍が平滑筋腫です。画像としては、ポリープみたいに孤立した腫瘤が内腔に突出する感じです。
5.食道裂孔ヘルニア 胃が横隔膜より、上部に出てしまっている状態です。
85 造影後の三次元腹部CT 像を示す。正しい組合せはどれか。
1.ア ―――― 腹腔動脈
2.イ ―――― 上行結腸
3.ウ ―――― 下腸間膜動脈
4.エ ―――― 直 腸
5.オ ―――― 内腸骨動脈

解 3
1.ア → 上腸間膜動脈(SMA)は、小腸と一部結腸(上行結腸のみ)を栄養します。そのため、SMAの走行は縦に走るようなイメージになります。
2.イ → 左側の結腸は、下行結腸です。
3.ウ → 下腸間膜動脈(IMA)は、結腸(上行以外)を栄養します。
4.エ → S状結腸です。
5.オ → 外腸骨動脈 下肢に続く血管は、外腸骨動脈になります。
86 頸動脈性造影CT 像を示す。正しいのはどれか。 2 つ選べ。
1.AはCTAP である。
2.腹水貯留を認める。
3.門脈閉塞を認める。
4.食道静脈瘤を認める。
5.腹腔内出血を認める。

参考までに。
問題には頸動脈性とありますが、経動脈性と捉えて説明します。
CTAP:経動脈性門脈造影CT
上腸間膜動脈から造影剤を注入し、門脈に流入するタイミングでCTを撮影します。
CTA:肝動脈造影CT
総肝動脈から造影剤を注入して、CTを撮影します。
肝細胞癌はほぼ肝動脈から栄養を受けています。よって肝細胞癌は、CTAでは造影剤で濃染されます。
一方、CTAPでは門脈の血流動態が分かります。正常の肝は門脈で濃染されますが、肝細胞癌は濃染されないということになります。
CTA、CTAPの利点として、通常の造影CTではっきり抽出されない病変も明瞭に抽出することが可能です。
1.AはCTAP である。→Aで濃染されている箇所は、病変のように見えるのでCTAと思われます。BがCTAPと思われます。
2.腹水貯留を認める。→認めます。
3.門脈閉塞を認める。→門脈が閉塞している場合、CTAPで正常肝も濃染されません。
4.食道静脈瘤を認める。→認めます。
5.腹腔内出血を認める。→出血は明らかではないと思われます。

87 頭痛を訴えて救急外来を受診した際に撮影した頭部単純CT 像を示す。最も考えられる状態はどれか。
1.脳内出血
2.くも膜囊腫
3.硬膜下血腫
4.硬膜外血腫
5.くも膜下出血
