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第66回 医学大要2

第66回 診療放射線技師 国家試験 医学大要の解説を作成しました。

66回より以前は、午後にまとめて30題出題されていました。

前回のpart1に引き続き、ここでは17~30について記載してます。

参考にして下さい。

 

17 ショックの原因とならないのはどれか。

1.脱 水
2.肺気腫
3.急性心筋梗塞
4.心タンポナーデ
5.アナフィラキシー

解 2

ショックとは、急激に生じる末梢循環不全のことです。
末梢の臓器が必要とする血流が、得られないため機能不全に陥った状態を言います。

ショックの診断基準は次の通りです。数値等は変更されているかもしれません。

血圧低下 収縮期血圧90mmHg以下(平常時より20~60mmHg程度低下)

以下より3つ以上の該当

  • 心拍数 100回/分
  • 微弱な頻拍
  • 爪床の毛細血管のrefilling遅延
  • 意識障害
  • 乏尿、無尿
  • 皮膚蒼白と冷汗、または39℃以上の発熱

ショックの原因となりうるものに、次のようなものが考えられます。

  • 循環血液量減少性 大量出血、脱水、熱傷など
  • 心源性 心筋炎、心筋症、心弁膜症、不整脈、急性心筋梗塞、心タンポナーデ など
  • アナフィラキシー 薬剤、ハチなどの昆虫毒、ヘビ毒など

 

18 疲労骨折を最も生じやすいのはどれか。

1.鎖 骨
2.尺 骨
3.大腿骨
4.腓 骨
5.中足骨

解 5

疲労骨折は、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって、骨にひびがはいったり、完全な骨折に至った状態を言います。

スポーツ選手が短期的に集中的なトレーニングを行ったときに生じることが多いのも特徴です。

好発部位は、中足骨、脛骨、腓骨、肋骨、足関節内果、尺骨などです。

特に中足骨は35%、脛骨は27%と2部位で発症することが多いです。

診断には、単純X腺、MRI、骨シンチグラフィが有用です。

 

19 成人における無気肺の原因で頻度が高いのはどれか。

1.肺 癌
2.心不全
3.気管支異物
4.気管支喘息
5.慢性閉塞性肺疾患

解 1

無気肺は、肺の含気量が減少した病態を言います。
発生機序により閉塞性、圧迫性、粘着性、瘢痕性の4つに分類されます。最も多いのは閉塞性です。

  • 閉塞性 太い気管(気管~区域気管支)が閉塞し、末梢の肺が無気肺となる。原因は、肺癌、異物、気道分泌物など。
  • 圧迫性 病変によって肺胞が圧迫され、無気肺となる。原因は、胸水、緊張性気胸、肺癌、縦隔腫瘍など。
  • 粘着性 肺サーファクタントの減少により肺胞が虚脱し、無気肺となる。原因は、肺水腫など。
  • 瘢痕性 間質の繊維化により肺胞はふくらむことができず、無気肺となる。原因は、肺線維症、気管支拡張症など。
20 動脈硬化が原因となるのはどれか。 2 つ選べ。

1.心筋梗塞
2.拡張型心筋症
3.深部静脈血栓症
4.腎血管性高血圧症
5.原発性肺高血圧症

解 1、4

動脈硬化になると、血管壁は脆弱化し、血管の狭窄・閉塞のリスクが高くなります。

動脈硬化がリスクとなる疾患には、次のようなものが挙げられます。

  • 頭頸部の血管 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血
  • 冠動脈   虚血性心疾患(心筋梗塞)
  • 大動脈   大動脈瘤、大動脈解離
  • 腎動脈   腎硬化症、腎血管性高血圧
  • 総腸骨動脈など 閉塞性動脈硬化症
  • 末梢動脈  閉塞性血栓血管炎

 

21 欠乏することで血液凝固異常を生じるのはどれか。

1.ビタミンA
2.ビタミンB1
3.ビタミンB6
4.ビタミンE
5.ビタミンK

解 5

ビタミンについてまとめました。参考にしてください。

22 子宮に最も高頻度に生じる良性腫瘍の由来細胞はどれか。

1.子宮頸部間質線維細胞
2.子宮体部漿膜中皮細胞
3.子宮体部筋層平滑筋細胞
4.子宮体部内膜腺上皮細胞
5.子宮頸部頸管円柱上皮細胞

解 3

個人的な感想です。技師の範疇を越している気がするので、解説は割愛させてください。

ただ解答するだけなら、子宮筋腫的な感じで解けそうな気もします。

子宮関連の疾患についても参考までに。こちらの方が国家試験的な感じがすると思っています。

23 くも膜下出血の原因で最も頻度が高いのはどれか。

1.外 傷
2.脳梗塞
3.脳動脈瘤
4.脳内出血
5.脳動静脈奇形

解 3

クモ膜下出血を参照して下さい。

24 疾患とその原因となるホルモンの組合せで正しいのはどれか。

1.糖尿病 ―――――――――――――― プロラクチン
2.尿崩症 ―――――――――――――― アルドステロン
3.褐色細胞腫 ―――――――――――― グルカゴン
4.Basedow〈バセドウ〉病 ――――― サイロキシン
5.Cushing〈クッシング〉症候群 ――― ドパミン

解 4

1.糖尿病 ―――――――― インスリン
2.尿崩症 ―――――――― バゾプレシン
3.褐色細胞腫 ―――――― カテコールアミン(副腎髄質)
5.クッシング症候群 ――― コルチゾール、アンドロゲン(副腎皮質)

25 成人と比較して小児に生じる頻度が高いのはどれか。

1.神経芽腫
2.褐色細胞腫
3.転移性副腎腫瘍
4.原発性アルドステロン症
5.Cushing〈クッシング〉症候群

解 1

小児がんの特徴として、白血病や悪性リンパ腫以外は、大人での発生はまれです。逆に胃癌や肺癌は小児にはなく、生活習慣が原因があると考えられるものは少ないです。

神経芽腫、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)、肝芽腫など「芽腫」と呼ばれる腫瘍は、胎児の体内で残存した細胞が、異常な細胞に変化し、増殖した結果と考えられています。また網膜芽腫やウィルムス腫瘍のように、遺伝性の疾患もあります。

26 前立腺癌の治療に用いるのはどれか。

1.90Y 内用療法
2.ラジオ波焼灼療法
3.内視鏡的粘膜切除術
4.192Ir 密封小線源永久挿入法
5.強度変調放射線治療〈IMRT〉

解 5

1.90Y 内用療法     悪性リンパ腫

2.ラジオ波焼灼療法   肝細胞癌

3.内視鏡的粘膜切除術  大腸癌(早期)

4.192Ir 密封小線源永久挿入法
RALS(Remote After Loading System:遠隔操作密封小線源治療)。子宮・気管支・胆道・食道・直腸などの管腔臓器に対して行います。また、管腔臓器以外では、舌や骨盤内の腫瘍などの組織内照射に使用されることもあるそうです。

27 肺血栓塞栓症に用いられない治療法はどれか。

1.外科的血栓摘除術
2.経皮的血栓摘除術
3.経皮的血栓溶解術
4.経皮的ステント留置術
5.下大静脈フィルター留置術

解 4

第70回 医学大要 午前 の59を参照して下さい。

 

28 電離放射線作業に伴う健康障害でないのはどれか。

1.肺気腫
2.白血病
3.白内障
4.皮膚潰瘍
5.再生不良性貧血

解 1

放射線の人体への影響の問題です。
肺は、放射線治療などの高線量を被ばくすると、肺炎や肺線維症になることがあります。肺気腫と放射線被ばくの関連は聞いたことがありません。

その他の選択肢は、放射線被ばくと関連があります。

29 病院のインシデント報告を利用する目的で適切でないのはどれか。

1.職場環境の整備
2.再発防止対策の検討
3.他部署との情報共有
4.インシデントの当事者の責任追及
5.インシデントを生じた要因の分析

解 4

インシデント関連の問題は時折、出題ている印象です。
インシデント報告の目的は、個人を特定して責任を追求するためではありません。再発を防止するor起こりそうな事故を未然に防ぐことを目的としています。これ以上は割愛させて頂きます。

30 ヨード造影剤の使用を決定する際に最も注意すべき項目はどれか。

1.貧 血
2.出血傾向
3.肝機能障害
4.腎機能障害
5.呼吸機能障害

解 4

CTのヨード造影剤についてを参照して下さい。