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第66回 医学大要1

第66回 診療放射線技師 国家試験 医学大要の解説を作成しました。

66回より以前は、午後にまとめて30題出題されていました。
ここでは解説の都合上、1~16について記載してます。

参考にして下さい。

 

1 細胞外液より細胞内液の濃度が高いのはどれか。

1.Cl-
2.H+
3.HCO3-
4.K+
5.Na+

解 4

体液は、細胞内液と細胞外液に分けられます。
さらに細胞外液は、組織間液(細胞と細胞の間)と血漿に分類されます。

  • 細胞内液
    主に陽イオンはK+で構成されています。陰イオンについては、国試で見たことないので割愛します。
  • 細胞外液
    組織間液と血漿は、基本的な組成は似ています。
    主な陽イオンはNa+、陰イオンはCl-、HCO3-です。

 

2 皮質と髄質で構成されるのはどれか。 2 つ選べ。

1.甲状腺
2.肝 臓
3.膵 臓
4.副 腎
5.腎 臓

解 4、5

皮質と髄質で構成される代表的な臓器には、腎臓、副腎、卵巣が挙げられます。

 

3 腹腔内臓器はどれか。

1.副 腎
2.膵 臓
3.腎 臓
4.卵 巣
5.膀 胱

解 4

腹腔内臓器は次のように記憶しています。

  • 腹腔内臓器
    肝、胆、脾、子宮、卵巣
  • 腹腔外臓器
    十二指腸、膵、上行結腸、下行結腸、直腸、腎、副腎、尿管、膀胱
4 最も尾側に位置する構造はどれか。

1.顎下腺
2.甲状腺
3.喉頭蓋
4.耳下腺
5.軟口蓋

解 2

解剖の問題です。イラストを描こうとも思いましたが、教科書などを参考にしてください。

5 粘膜が重層扁平上皮で覆われているのはどれか。 2 つ選べ。

1.口 腔
2.食 道
3.胃
4.回 腸
5.S 状結腸

解 1、2

いずれまとめたページを作成する予定ですが、まずは消化器系の上皮から。

  • 口腔、咽頭後部、食道   重層扁平上皮
  • 胃、十二指腸、小腸、大腸 単層円柱上皮
  • 肛門           重層扁平上皮
6 関節を形成しないのはどれか。

1.ツチ骨
2.舌 骨
3.胸 骨
4.肋 骨
5.仙 骨

解 2

2つ以上の骨が連結する部位を関節と言います。
つまりこの問いでは、骨が連結しないで孤立しているものを選択すれば良いということになります。

参考までに

  • 耳小骨はツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨が連結しています。
  • 胸骨と鎖骨で胸鎖関節などがあります。
  • 第1肋骨と鎖骨で肋鎖関節などがあります。
  • 仙骨と腸骨で仙腸関節などがあります。
7 Lisfranc〈リスフラン〉関節を構成するのはどれか。

1.脛 骨
2.距 骨
3.踵 骨
4.舟状骨
5.立方骨

解 5

図を参照して下さい。

8 肩関節の運動に関与しないのはどれか。

1.回外筋
2.棘上筋
3.広背筋
4.三角筋
5.大円筋

解 1

肩関節の運動は、頸部、胸部、背側部、上腕の広範囲の筋が関連しています。
主な筋には、次のようなものがあります。
三角筋、棘上筋棘下筋小円筋、大円筋、肩甲下筋、烏口腕筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、広背筋、大胸筋

この中で特に重要なのは、腱板と言われるマーカーがつきの4つの筋です。

回外筋は、肘関節、前腕の回外に使われる筋です。

9 後縦隔に存在するのはどれか。

1.胸 腺
2.気管支
3.奇静脈
4.横隔神経
5.腕頭動脈

解 3

縦隔腫瘍には、覚えやすい?語呂があります。
まずはこれを覚えて、含まれる臓器については、差分もしくは覚えづらい箇所を覚えるという形がオススメです。

  • から子はだった
  • 立派心気管車に乗って
  • ろの精神科
縦隔 含まれる臓器 縦隔腫瘍
胸腺、気管、食道、大動脈弓 胸腺腫、奇形腫
胸腺 胸腺腫、奇形腫
気管支、大血管、心臓、横隔神経 悪性リンパ腫
先天性嚢胞
(心膜、気管支)
食道、大動脈、奇静脈、胸管、迷走神経、交感神経幹etc 神経原性腫瘍
10 胸管が流入する血管はどれか。

1.門 脈
2.上大静脈
3.下大静脈
4.左鎖骨下静脈
5.右鎖骨下静脈

解 4

胸管は、リンパ系に分類されます。

リンパ系は、主に体循環と関連しています。
静脈によって吸収されなかった血液の液性成分であるリンパを集めて、リンパ管を経由して静脈まで運ぶ循環系である。

この作用で、組織液が回収され、むくみ(浮腫)が改善されます。

このリンパの循環には、特徴があります。
少し大雑把ですが、以下にまとめます。

  • 右上半身のリンパ
    右頭頸部のリンパ ⇒ 右リンパ本幹 ⇒ 右静脈角
    右上肢、右乳房のリンパ⇒ 右リンパ本幹 ⇒ 右静脈角
  • 左上半身と下半身のリンパ
    左頭頸部のリンパ ⇒ 左リンパ本幹 ⇒ 左静脈角
    左上肢、左乳房のリンパ ⇒ 左リンパ本幹 ⇒ 左静脈角骨盤と下肢のリンパ ⇒ 乳び槽 ⇒ 胸管 ⇒ 左静脈角

ちなみに静脈角とは、鎖骨下静脈と内頚静脈の合流部のことを言います。
左右に1つずつありますが、流入してくる部位が異なります。

 

11 赤血球を分解するのはどれか。 2 つ選べ。

1.肝 臓
2.骨 髄
3.腎 臓
4.脾 臓
5.リンパ節

解 1、4

赤血球は骨髄で産生され、120日程度体内で循環するそうです。
脾臓、肝臓、骨髄などの網内系と呼ばれる機構でマクロファージにより貪食、破壊されるそうです。調べると骨髄も入ってますけど、ここでの解答は脾臓・肝臓になっています。

12 腎臓で産生されるのはどれか。 2 つ選べ。

1.レニン
2.カルシトニン
3.バソプレシン
4.パラトルモン
5.エリスロポエチン

解 1、5

レニンについては、尿の生成についてを参照してください。

エリスロポエチンは、第70回の医学大要AM60で出題されています。
なので同様の解説を使用します。

赤血球の造血因子であるエリスロポエチン(EPO)は、大部分が腎臓で産生されます。

そのため腎機能が低下するとEPOの産生も低下し、貧血が進行します。

13 自律神経機能を調節するのはどれか。

1.小 脳
2.線条体
3.辺縁系
4.連合野
5.視床下部

解 5

個人的に難しい問題だと思います。

視床下部には、多くの神経節が存在し、自律神経系や内分泌系の中枢となっています。体温調節、体液・浸透圧の調節、睡眠・覚醒、摂食、性行動、情動など生命活動の中心的な役割を果たします。

その他の各部位について

  • 小脳は、四肢・体幹の動きの調節、平衡・眼球運動の調節を行います。
  • 線条体は、大脳基底核に含まれます。大脳基底核は、小脳とともに錐体路の運動を調節し(ブレーキの掛かり具合のイメージ)、体のスムーズな運動を可能にしています。
  • 辺縁系は、大脳辺縁系のことと思います。梁下野、帯状回、海馬傍回、海馬、扁桃体、乳頭体などがあります。原子的な感情(快、不快、恐怖など)や記憶の形成に関わっています。
  • 連合野は、前頭葉、頭頂葉、側頭葉に存在します。それぞれ役割は異なります。
14 味覚障害に関連するのはどれか。

1.亜 鉛
2.カリウム
3.カルシウム
4.ナトリウム
5.アルミニウム

解 1

ネットで調査しました。
味蕾は聞いたことがあると思います。
この味蕾は通常、細胞分裂をすることで新しいものに交代されます。
しかし体内の亜鉛が不足すると、この細胞の入れ替わりが延長し、機能低下を来たすそうです。

15 飛沫感染するのはどれか。 2 つ選べ。

1.破傷風菌
2.ノロウイルス
3.風疹ウイルス
4.インフルエンザウイルス
5.ヒトパピローマウイルス

解 2、3、4

複数解が認められた問いだった気がします。

飛沫感染は、感染経路についてを参照してください。

16 垂直感染するのはどれか。 2 つ選べ。

1.結核菌
2.麻疹ウイルス
3.A 型肝炎ウイルス
4.B 型肝炎ウイルス
5.ヒト免疫不全ウイルス

解 4、5

垂直感染は、感染症についてを参照してください。